ハナイカダ(読み)はないかだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハナイカダ」の意味・わかりやすい解説

ハナイカダ
はないかだ / 花筏
[学] Helwingia japonica (Thunb.) F.G.Dietr.

ミズキ科(APG分類:ハナイカダ科)の落葉低木。高さ2メートル。幹は黄褐色。葉は薄く、楕円(だえん)形、長さ6~12センチメートル、先端が芒(のぎ)状にとがる低い鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。5月、葉の中央に淡黄色の花を開く。名は、この花をつけた葉を筏(いかだ)に例えたもの。核果は長楕円形、長さ6~7ミリメートルで黒く熟す。北海道南西部、本州、九州、沖縄、および中国に分布し、山野に生える。

 ハナイカダ属は3種からなり、日本、中国、ヒマラヤに分布する。

[門田裕一 2021年11月17日]
 APG分類ではハナイカダ属はハナイカダ科Helwingiaceaeとして独立した。ハナイカダは形態変異の幅が広く、1種にまとめる考え方もある。

[編集部 2021年11月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハナイカダ」の意味・わかりやすい解説

ハナイカダ(花筏)
ハナイカダ
Helwingia japonica

ミズキ科の落葉低木で,北海道南西部から本州,四国,九州に分布する。山の谷間に生え,高さは1~2mにとどまる。葉は互生し,卵円形で先がとがり,長さ6~12cmで葉縁に細かい鋸歯がある。雌雄異株で,初夏に葉面の中央の脈上に短柄のある淡緑色の花をつける。雄花は数個つき,小さな花弁おしべが4個ずつある。雌花は1~3個で,3枚の花弁と1個のめしべをもつ。花後に子房は径約 1cmの緑色の核果となり黒熟する。地方によっては若い葉はままっこと呼ばれ食用となる。和名は葉の上に花や実を載せた様子を筏にたとえたものである。

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