ハマウツボ(読み)はまうつぼ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハマウツボ」の意味・わかりやすい解説

ハマウツボ
はまうつぼ / 浜靭
[学] Orobanche coerulescens Steph.

ハマウツボ科(APG分類:ハマウツボ科)の一年生の寄生植物。おもにカワラヨモギに寄生し、オトコヨモギに寄生するものはオカウツボといって区別される。茎は高さ10~30センチメートル、密に白色の毛があり、披針(ひしん)形の鱗片葉(りんぺんよう)をつける。5~7月、紫色の唇形花を多数開く。海岸から沿海地に生え、日本全土、および朝鮮半島、中国、シベリアからヨーロッパ東部に分布する。名のウツボは、花形弓矢入れ物である靭(うつぼ)に似ることによる。

 ハマウツボ属は花は穂状につき、萼(がく)は2片に裂ける。世界に約100種、日本には本種のほかに、小笠原にシマウツボが野生し、ほかに、おもにシロツメクサに寄生するヤセウツボO. minor Smithが帰化している。

[高橋秀男 2021年9月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハマウツボ」の意味・わかりやすい解説

ハマウツボ(浜靫)
ハマウツボ
Orobanche coerulescens; broomrape

カワラヨモギに寄生するハマウツボ科の一年草。アジアから東ヨーロッパの温帯から熱帯に広く分布し,日本でも各地の海岸の砂地に生える。全体に葉緑素を欠き,黄褐色を呈する。根茎は塊状に太く肥厚し,肉質のひげ根宿主の根につく。茎は太い円柱形で分枝せず,初めは卵状披針形の鱗片葉と長めの白い軟毛をつける。初夏に,茎の上部に太い花穂を1本出し,淡紫色の花を密につける。花冠は長さ 2cmほどの筒形で花柄はなく,2片に分れた萼がある。全体に毛が多い。果実は狭楕円形の蒴果で,多数の黒色種子を生じる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android