ハンゲショウ(読み)はんげしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンゲショウ」の意味・わかりやすい解説

ハンゲショウ
はんげしょう / 半夏生
[学] Saururus chinensis (Lour.) Baill.

ドクダミ科(APG分類:ドクダミ科)の多年草。地下茎は長く横走する。高さ0.5~1メートル、全体に臭気がある。葉は互生し、卵形で基部は心形、花序の下の2、3枚の葉は下半分が白くなる。6月末から7月、葉と対生して垂れ下がる穂状の花序をつくり、基部から先端に向かって徐々に白色の小さい花を開き、花序はやがて直立する。包葉は花序軸にはなく、長さ2~3ミリメートルの小花柄の先につく。花は両性花被(かひ)はない。雄しべは6本で心皮と対生し、基部は心皮に合着する。雌しべは4枚の心皮からなり、基部は互いに合生する。胚珠(はいしゅ)は1心皮当り2個であるが、種子は1心皮に1個できる。低湿地に群生し、本州から沖縄、および東アジア、南アジアに分布する。名は、花期が半夏生(7月2日ころ)のころであるからとも、葉の下半分が白色なので半化粧の意であるともいわれる。別名カタシログサ(片白草)ともいうが、これも同じ理由による。ハンゲショウ属は2種あり、もう1種S. cernuus L.は北アメリカ東部に分布する。

[大森雄治 2018年7月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハンゲショウ」の意味・わかりやすい解説

ハンゲショウ(半夏生)
ハンゲショウ
Saururus chinensis

ドクダミ科の多年草。カタシログサともいう。朝鮮半島,日本,中国に分布する。北海道を除く日本各地の低湿地に生え,全草に臭気がある。茎は直立し,高さ 1mに及ぶ。葉には柄があり互生し,長卵形または楕円形初夏になると茎の先の2~3枚の葉は下半部の表面が白くなる。この白い葉に向い合って長さ 10cmあまりの穂状の花序を出し,白色の小花を多数つける。花には花被がなく,おしべ6~7本,めしべ1本で基部に1枚の小さな包葉がある。

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