改訂新版 世界大百科事典 「ハンゲショウ」の意味・わかりやすい解説
ハンゲショウ (半夏生)
Saururus chinensis (Lour.) Baill.
暖地の水辺や湿地に群生するドクダミ科の多年草。茎の上部の数枚の葉は下半部が白色となって目だつ。一説にはこの葉色から〈半化粧〉の名があるといい,また一説には,この葉を半夏生(夏至から11日目)のころにつけるところからこの名があるともいう。カタシログサ(片白草)ともいう。根茎は長くはい,地上茎は直立して,高さ0.5~1m。全体が柔らかい。葉は互生し,長卵形で鋸歯がなく,長さ5~15cm,幅4~8cm。6~8月,茎の先に細長い穂状花序をだし,多数の小さな花をつける。花は黄白色で花被がなく,小さな苞葉のわきに6本のおしべと1本のめしべがあるだけである。果実は球形で4個の袋果に分かれ,それぞれ1個の種子をもつ。茶花として利用され,全草や根茎を薬用とし,解熱や解毒,脚気などに用いた。本州の関東以南,四国,九州,沖縄,中国,フィリピンに分布する。
ハンゲショウ属Saururus(英名lizard's-tail)はアジアに1種,北アメリカに1種知られるだけで,原始的な植物の一つと考えられている。
執筆者:山崎 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報