改訂新版 世界大百科事典 「ハートカズラ」の意味・わかりやすい解説
ハートカズラ
Ceropegia woodii Schlecht.
ガガイモ科の常緑つる性多年草で,rosary vine,string-of-hearts,heart vineなど多くの英名がある。南アフリカのナタール原産。従来,多肉植物として愛好されてきたが,最近では,観葉植物として扱われることが多い。地下の塊球茎から出る茎は細く,径2~3mmで,つり鉢にすれば2m近くも長く下垂し,4~5cmごとに,長さ1~2cmの多肉質でハート形の葉を対生する。葉の表は暗灰緑色で銀白色の模様が入り,裏面は淡暗紫紅色で美しい。節部に球状に肥大した〈むかご〉を形成する。片方の葉腋(ようえき)から短花柄を出し,先端に2~3花をつける。花は淡紫紅色の細い筒状で,基部は球状にふくらむ。花弁は5裂するが,先端で合着し王冠状に見える。むかごから,または茎を2~3節に切って挿木をしてふやす。乾燥に強く,水をひかえれば0℃近くの低温にも耐える。1912年ころには日本に渡来していた。32年に,ゆかたの模様にデザインされたことがあるといわれる。
セロペジア属Ceropegiaは旧世界熱帯域に約160種ほどが知られ,つる性あるいは木本質の多肉的な植物で,地下の塊茎が食用にされる種がある。また民間薬にも利用される。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報