改訂新版 世界大百科事典 「バイア」の意味・わかりやすい解説
バイア[州]
Bahia
ブラジル北東部の州。面積55万9921km2(国土の6.62%)。人口1307万(2000)。州都サルバドル。全国4位で,全国人口の8%を占める。1501年11月1日の万聖節にポルトガル人が湾bahiaに到着してトドス・オス・サントス湾と命名した。亜熱帯気候に属し,平均最高気温は32.4℃,最低気温は17℃。年間平均気温は25.1℃である。年間雨量は1958mm。平均湿度80%。カーチンガ(乾燥地帯の灌木)が州面積の65.1%を占め,ついで沿岸植生,セラード,熱帯雨林,ヤシ林が多い。サン・フランシスコ川が代表的水系で,州を縦貫して流れ,可航部分は4879kmに達し,内陸部の連絡路として重要である。海岸線は各州の中で最も長く,932kmに達する。カカオや砂糖,タバコなどの農業が経済活動の中心であるが,近年,州都サルバドルと近くの工業団地を基盤として石油化学,食品,繊維などの工業も発展している。
執筆者:山田 睦男
バイア
bay`a
イスラム社会において,一団の人々がある人の権威を認めて,その人に服従の意志を示す契約行為。通常〈忠誠の誓い〉と訳され,おおむねそれは,イスラム国家の最高権威者であるカリフに対する〈忠誠の誓い〉を指す。語源的には,主権者の手の上に人々が手を置くという忠誠の誓いの方法が,売買契約成立時の売手と買手の行為に似ているところから,〈売買〉を意味する動詞bā`aから派生したといわれる。歴史的には,ムハンマドがヒジュラの直前に,メディナの人々とアカバで立てた〈婦人の誓い〉やメッカ征服以前にイスラム教徒たちから受けた〈樹下の誓い〉を先例とする。しかし忠誠の誓いの方法そのものは,しだいに変化したようで,10世紀後半以降では,おおむね支配者の前の床に口づけするようになった。
執筆者:森本 公誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報