バイキング計画(読み)ばいきんぐけいかく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイキング計画」の意味・わかりやすい解説

バイキング計画
ばいきんぐけいかく

火星大気とその表面を直接調べること、とくに生命の存在に関して、生物学的、化学的、および環境学的な調査を行うことを目的としたアメリカの惑星探査計画。1975年8月にバイキングViking1号機、9月に2号機が打ち上げられ、火星表面に軟着陸して人類初の火星表土採取に成功した。探査機はオービタ(軌道船)とランダー(着陸船)とからなり、オービタはランダーを火星周回軌道に運び、搭載したテレビカメラで適当な着陸地点を探し、ランダーが着陸したのちは、ランダーが火星上で行った実験データを地球へ送るデータ・リレー衛星の役目を果たした。1号機は1976年7月20日にクリュセ平原に、2号機は9月3日にユートピア平原に着陸した。ランダーはガスクロマトグラフィー装置、生命検出装置、土壌掘削用のロボット腕、蛍光X線スペクトロメーターなどの装置をもち、大気や土壌の化学分析、生命探査に関する炭素同化実験、ラベル放出実験、ガス交換実験、および有機物の質量分析実験などを行った。その結果、これら二地点での実験に限っていえば、生命の存在に関して確たる証拠はみつからなかった。

[輿石 肇・岩田 勉]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイキング計画」の意味・わかりやすい解説

バイキング計画
バイキングけいかく
Project Viking

長い準備ののち 1975年に着手された無人の火星探査機を火星に軟着陸させ,生物の存在を探ろうというアメリカの宇宙計画。まず約 2.5tの探査機を打上げて,火星を回る衛星としたのち,10日間ほど火星の表面を探査する。次いで約 1tの探測器が切り離され,逆推進ロケットを使って減速しながらパラシュートで軟着陸し,火星表面の地質温度,生物などのデータを,衛星軌道を回っている母船を通じて地球に送る。 75年に2機が打上げられ,1号は 76年7月 20日 (クリュセ高原) に,2号は同年9月3日 (ユートピア平原) にそれぞれ着陸し,科学観測を行い,データを地球に送ってきた。2号は 80年4月2日電源を消耗して活動を終えた。その結果,火星に生物が存在するという決定的な証拠は得られなかった。

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