バスク祖国と自由(読み)バスクそこくとじゆう(英語表記)Euskadi Ta Askatasuna; ETA

共同通信ニュース用語解説 「バスク祖国と自由」の解説

バスク祖国と自由(ETA)

スペイン北部バスク地方の分離独立を掲げる非合法組織。1959年、バスク語研究のために結成され、後に武闘路線に転じた。68年に警察幹部を暗殺した初のテロ以来、政治家や軍幹部、市民の暗殺、誘拐を繰り返した。メンバーは約30人から200人とみられ、火炎瓶を用いた襲撃暴行などに関与する多数の準構成員もいるとされる。2011年10月に無期限停戦宣言。スペインやフランスで多数のメンバーが服役している。(共同)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バスク祖国と自由」の意味・わかりやすい解説

バスク祖国と自由
バスクそこくとじゆう
Euskadi Ta Askatasuna; ETA

スペインのバスク地方の分離独立派組織。テロ行為を通じてバスク地方の独立運動を進めた。1894年創設のバスク国民党 PNVから 1959年,武力闘争を拒否する党の方針に不満をもつ者が離党し,創設。組織の目標に革命的社会主義を掲げたが,1966年,イデオロギーの違いから,バスクの自治という従来の目標に忠実な民族主義派 ETA-Vと,マルクスレーニン主義に基づくバスク独立を志向するイデオロギー派 ETA-VIに分裂した。破壊行為や 1968年以降の暗殺活動にかかわるのは ETA-VIである。フランコ政権から激しい弾圧を受け,1969~70年には有力な指導者らが一斉に逮捕され軍事裁判にかけられた。1970~80年代には派閥主義が強まり,武力闘争派から政治行動派までさまざまなグループに分かれた。1975年のフランコの死亡後,スペイン民主政府はバスク地方の自治の確立へ動き,テロ活動を放棄した者に恩赦を与えた。しかし,その後の 10年間に ETAが関与した爆弾テロや暗殺は,厳しい弾圧下にあったフランコ時代の 10倍を数えた。犠牲者の多くは軍将校,司法関係者,政府要人らであった。一方で選挙を戦うため,エリ・バタスナなどの政治組織を結成した。政府に拘束されたり,派閥抗争で落命したりする指導者が続出したが,組織の活動は続いた。1983年には ETAメンバー 2人が政府の治安部隊に誘拐され殺害された。ETAに対するいわゆる「汚い戦争」の一部とみられる事件である。1998年停戦を宣言したが,1年あまりで破棄。21世紀初頭に ETAの暴力活動が続いたことを機に,スペイン政府は再び ETAの制圧に乗り出した。2006年再び無期限停戦を発表したが,翌 2007年破棄,2010年武力行為停止の声明を発表したが,政府はこれを受け入れず,暴力活動の放棄と武装解除を求めた。2011年1月10日,恒久的全面的かつ査察も受け入れる休戦を宣言,同年 10月20日には,武装活動の完全停止を宣言した。(→バスク独立運動

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百科事典マイペディア 「バスク祖国と自由」の意味・わかりやすい解説

バスク祖国と自由【バスクそこくとじゆう】

バスク民族運動の急進派の組織。バスク語でEuzkadi ta Askatasuna(略称ETA)。1959年バスク国民党青年部の一部とビルバオの青年グループ〈エキンEkin〉(行動)が結成,民族解放革命運動をめざし,武力闘争を辞さず,1968年以降テロによる犠牲者も少なくない。スペイン政府はフランスと協議し,フランス・バスクからETAメンバーを締め出した。1979年総選挙から登場した〈民衆連合(HB)〉はETAを支持する公然組織である。1998年9月,全面的かつ無制限の停戦を一方的に宣言したが,1999年末には停戦を放棄,2000年以降テロが増加している。
→関連項目スペイン

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バスク祖国と自由」の解説

バスク祖国と自由(ETA)(バスクそこくとじゆう)
Euscadi Ta Askatasuna

スペイン国家からのバスク地方独立を標榜するバスク・ナショナリスト過激派,テロリスト集団。1959年フランコ体制下の反体制・抵抗運動組織として,バスク・ナショナリスト党から分派し成立。組織内には警察・軍機関とその関係者を攻撃するグループや企業家誘拐,観光業界脅迫を行うグループなどが存在。73年当時の首相カレロ・ブランコを暗殺。バスク自治権の承認後,現在の民主体制下でも武装闘争を続ける。

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デジタル大辞泉プラス 「バスク祖国と自由」の解説

バスク祖国と自由

《Euzkadi Ta Askatasuna》バスク独立を目指す分離主義過激組織。1959年結成。スペイン全土およびフランス南西部のバスク諸県で活動。スペインの治安当局や政治家、ジャーナリスト等を対象とするテロを実行。2000年代後半から、スペイン当局により多数のメンバーが逮捕された結果弱体化。2011年に無期限停戦を表明。2018年5月、組織解体を表明。

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