翻訳|backgammon
2人で行う盤上ゲーム。競技者がダイス(さいころ)の目によって盤上の駒を進め,相手より先に目的地に達した方が勝ちというタイプのゲームを,ゲーム研究家はレース・ゲームrace gameと名づけている。バックギャモン(西洋すごろくと訳されることが多い)は,典型的なレース・ゲームであるとともに,最古のレース・ゲームの直系である。皇帝ネロも愛好したと伝えられる古代ローマの〈十二線ゲームindus duodecim scriptorum〉から派生したのがバックギャモンと考えられる。このゲームはヨーロッパではトリックトラックと呼ばれ,17~18世紀にギャンブル・ゲームとして大流行した。年代は不明であるが,日本には奈良時代以前に輸入されすごろくと呼ばれた。バックギャモンは1970年代に,突然アメリカを中心に爆発的なリバイバル・ブームが起こり,世界中に広がった。これはダブリングという刺激的なスコア方式が採用され好まれたためであろう。競技人数は2人。バックギャモン盤に,白と黒各15個の駒を図のように配置する(盤面の呼名は図を参照のこと)。ゲームの目的は,2個のダイスの目に従って自分の駒を進めながら,相手の進路を妨害し,最終的に自分の駒を目的地に集め,ダイスの目によって駒をあがりにする。先に15個の駒を全部あがりにした方が勝ちである。ギャンブルとしてプレーするときは,一方があがりきったとき,相手の駒が盤上のどの位置に残っているかで,バックギャモン(3倍勝ち),ギャモン(2倍勝ち)という勝ち方が決定され,賭金が支払われる。競技会では賭金でなくポイント(点数)で計算される。技術と偶然の要素がたくみにまざりあったスリリングなゲームである。
→すごろく
執筆者:松田 道弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
盤上で黒・白または赤・白の二色に塗り分けられた15個ずつ30個の駒(こま)と、駒と同色のダイス2個ずつ4個を使用して2人で争うゲーム。賭(か)け事として行われることが多い。白鳳(はくほう)時代(7世紀後半)に大陸から伝えられ日本の賭け事の起源になった盤双六(ばんすごろく)と同系統のゲームであり、歴史は古く紀元前3000年ごろのメソポタミア王朝にまでさかのぼり、遺跡からはその原型が発掘されている。
ゲームは、交互にダイス2個をダイスボックスに入れて振り、出た目数を別々に2個の駒か、合計の目数を1個の駒か、いずれかを選んで駒を進め、自分の駒全部を、ルールで定められている自分の場所に集めるか、上がりにして全部を外に出したほうが勝ちとなる。日本では持統(じとう)天皇の3年(689)に「雙六(すくろく)禁断之令」が発布されて禁じられたが、13世紀ごろから世界各国も相次いでこれを禁じ、長い間廃れていた。1925年アメリカでダブリングdoublingというルールが考案されてふたたび流行し始め、現在は世界中で広く行われている。日本では1974年(昭和49)に日本バックギャモン協会が設立され、諸規則を統一するとともに、毎年日本バックギャモン選手権大会を開催している。
[倉茂貞助]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(2014-8-13)
…西方へはローマ帝国によりヨーロッパ全域とイギリスに伝えられ,中世以後すべての階層に流行した。升目は細長い三角形に変化しターブルtable,タボラtavola,トリックトラックtrictrac,プッフシュピールPuffspiel,テーブルtable,17世紀以後はバックギャモンbackgammonなどと異なった名称で呼ばれているが,すべて同一のゲームである。バックギャモンは,現在でもヨーロッパから中近東にかけて最もよく行われている盤上ゲームである。…
…西方へはローマ帝国によりヨーロッパ全域とイギリスに伝えられ,中世以後すべての階層に流行した。升目は細長い三角形に変化しターブルtable,タボラtavola,トリックトラックtrictrac,プッフシュピールPuffspiel,テーブルtable,17世紀以後はバックギャモンbackgammonなどと異なった名称で呼ばれているが,すべて同一のゲームである。バックギャモンは,現在でもヨーロッパから中近東にかけて最もよく行われている盤上ゲームである。…
※「バックギャモン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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