日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
バックグラウンド・ミュージック
ばっくぐらうんどみゅーじっく
background music
略称BGM。第二次世界大戦後頻繁に使われるようになった用語で、バックミュージック、バックグラウンドともよばれ、「背景音楽」「環境音楽(狭義)」と訳されることもある。能動的聴取を目的とする音楽ではなく、背景や環境の一部として供給される音楽をさす。したがって、強く印象に残り聴き入ってしまうような楽曲ではなく、気軽に聞き流せる楽曲が多く用いられる。喫茶店などでリラックスできるような音楽が流れていたり、工場などの職場で仕事の能率をあげるために音楽が流れていたりするのがこれである。BGMは目的に応じて作曲される場合もあるが、既存の作品の編曲がかなり多く用いられている。極端な例では、複数の楽曲の冒頭や結尾を取り除きメドレー風に続けることでカデンツァ(終止形)などにより生じる緊張感を除いたものもある。また、音楽療法に用いられる音楽の一部もバックグラウンド・ミュージックとよばれることがある。現在ではBGMはより充実し、ビデオテープレコーダーやビデオディスクプレーヤーの普及に伴ってBGVさらにはBGAVへと発展してきている。
なお広義にBGMをとらえると、民俗音楽では作業中に歌われる「作業歌」、芸術音楽ではバロック時代の「食卓音楽」、20世紀に入ってはサティの「家具の音楽」なども含まれる。また1970年代におこった「ミニマル・ミュージック」(反復音楽)にもBGMの影響が認められる。
[アルバレス・ホセ]