バック(英語表記)back

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デジタル大辞泉 「バック」の意味・読み・例文・類語

バック(back)

[名](スル)
背。背中。また、背部。裏面。後部。「バックにポイントのあるドレス」「車のバックシート」
背景。背後。また、背後に隠れているもの。「湖水をバックに写真を撮る」「バックに音楽を流す」「バックに利権問題がからむ」
後援すること。また、その人。後ろ盾。「地元がバックにつく」「有力なバックがある」
後進すること。うしろへ戻ること。また、戻すこと。「車がバックする」「バックしてフライを捕る」「利益の一部をバックする」
ラグビー・サッカー・バレーボールなどで、後衛。→バックス
バックストローク」の略。「バックで泳ぐ」
バックハンド」の略。「バックで打つ」
バックギア」の略。「ギアをバックに入れる」
俗に「後背位」のこと。
[補説]9は日本語での用法。
[類語](1後ろあと後方しりえ背中後背こうはい背後はいご背面後面背部後部下がる/(2光景情景シーン場景全景パノラマ前景近景遠景後景背景借景

バック(Pearl Buck)

[1892~1973]米国の女流小説家。宣教師の両親のもとに中国で育ち、同国の民衆の生活を深い理解と共感をもって描いた。1938年ノーベル文学賞受賞。代表作「大地」。パール=バック。

バック(Frédéric Back)

[1924~2013]カナダのアニメーション作家。フランスの生まれ。色鉛筆の柔らかなタッチで原画を描く手法で知られる。1982年に「クラック!」、1988年に「木を植えた男」で、それぞれアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。

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精選版 日本国語大辞典 「バック」の意味・読み・例文・類語

バック

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] back )
  2. 背。背中。また、背部。裏側。〔外来語辞典(1914)〕
  3. あるものをひきたたせて、後方にひろがる、風景や雰囲気。
    1. (イ) 絵画や写真、舞台などの背景。バックグラウンド。〔舶来語便覧(1912)〕
    2. (ロ) 背景画。
      1. [初出の実例]「絵は〈略〉飾窓(ウヰンドウ)の背景画(バック)に頼まれたものなのだ」(出典:放浪時代(1928)〈龍胆寺雄〉一)
    3. (ハ)バックグラウンドミュージック」の略。
    4. (ニ) ( 比喩的に ) 物事の行なわれる背景。
  4. ( ━する ) 後ろに向かって進むこと。後退すること。
    1. [初出の実例]「大いに慌ててバックをして見たが〈略〉泥に深く喰ひ込んだ艇は」(出典:学生時代(1918)〈久米正雄〉競漕)
  5. 後援すること。また、その人。うしろだて。
    1. [初出の実例]「もはや今日では、院長代理といふ肩書が物を云はなくなってゐるのである。背景(バック)になる実質がないといふことは、如何に彼としてやりにくいか」(出典:暖流(1938)〈岸田国士〉秋まで)
  6. ( ━する ) もどすこと。返却すること。もどること。
  7. ラグビー・サッカー・バレーボールなどで、後衛。バックス。
  8. バックハンド」の略。
    1. [初出の実例]「君の得意のバックのレシーヴに力が入って」(出典:冬眠先生慌てる(1954)〈尾崎一雄〉四月一日(わたぬき))
  9. ( 「バックストローク」の略 ) =せおよぎ(背泳)
    1. [初出の実例]「平泳(ブレスト)や背泳(バック)」(出典:鴛鴦の間(1955‐56)〈舟橋聖一〉九)
  10. バックギア」の略。

バック

  1. ( Pearl Buck パール━ ) アメリカの作家。宣教師の両親とともに少女時代から長く中国で生活。中国の民衆への深い理解と愛情をもって、農民の生活を描いた小説「大地」などを発表した。一九三八年ノーベル文学賞受賞。(一八九二‐一九七三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バック」の意味・わかりやすい解説

バック(Linda B. Buck)
ばっく
Linda B. Buck
(1947― )

アメリカの医学者。ワシントン州シアトル生まれ。ワシントン大学で心理学を学んだ後、テキサス・サウスウエスタン医科大学で免疫学博士号を取得。コロンビア大学、ハワードヒューズ医学研究所、ハーバード大学などを経てフレッド・ハッチンソン癌(がん)研究センター部長となる。

 アクセルとともに、鼻の奥にある嗅覚(きゅうかく)細胞には匂(にお)いの受容体が約1000種類もあることをマウスの実験で明らかにして1991年に共同で論文を発表した。人間には、この受容体は350種類ほどあることが分かってきた。

 一つの嗅覚細胞は一つの受容体だけをもち、この受容体は複数の似た構造をもつ匂い物質を識別できる。匂いを認識した嗅覚細胞は、大脳の下部にある糸球に情報を集め、その糸球には匂いを識別する細胞群があり、匂いの地図もある。この情報はさらに大脳の匂い中枢に送られ、そこで匂いの認識や過去の匂いの思い出しなど高度な感情的な情報と結びついていることなどの事実を二人は解明した。このメカニズムは、視覚、聴覚など他の知覚システムでも同じであるとされており、業績は高く評価された。

 2004年「匂い受容体と嗅覚システムの発見」の業績により、アクセルとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。

[馬場錬成]


バック(Pearl Sydenstricker Buc)
ばっく
Pearl Sydenstricker Buck
(1892―1973)

アメリカの女流作家。6月26日、ウェスト・バージニア州に生まれる。生後数か月で宣教師の両親に伴われ中国に赴き、その地で育つ。高等教育を受けるため一時期帰国、そののち長く中国にとどまり、民衆の生活に理解と愛情を寄せ、小説を書き始めた。中国における東西両文明の確執を描く『東の風・西の風』(1930)を処女作に、続く代表作『大地』(1931)はピュリッツァー賞を受け、アメリカ文学史上まれなベストセラーとなり、彼女の名を不朽にした。これは王竜(ワンロン)を主人公にその妻と息子たち一家の生活を描いたもので、『息子たち』(1932)、『分裂せる家』(1935)とともに三部作『大地の家』を構成している。34年以降アメリカに定住、多くの作品を書いた。中編『母』(1934)をはじめ、『この心の誇り』(1938)、『竜子』(1942)、『皇太后』(1956)などの長編小説、および両親を描いた『戦う天使』(1936)、ほかに評論、自伝、短編など数多くある。38年アメリカの女流作家として初のノーベル文学賞を受賞した。第二次世界大戦後、彼女の関心は主として社会問題に移行し、アメリカの良心を代表して、人類平和の実現に尽くした。73年3月6日、バーモントで死去。

[板津由基郷]

『町田日出子訳『戦う天使〈父の伝記〉』(1973・芙蓉書房)』『鶴見和子著『パール・バック』(岩波新書)』

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改訂新版 世界大百科事典 「バック」の意味・わかりやすい解説

バック
Pearl Buck
生没年:1892-1973

アメリカの小説家。ウェスト・バージニア州に生まれ,生後5ヵ月で宣教師の両親とともに中国に渡る。母国で大学教育を受け,中国に戻って宣教師となる。1917年宣教師で農業経済学者でもあり,《支那農業論》の著者として日本でも知られるJ.L.バック(1890-1975)と結婚し,一時南京大学で英文学を教える。処女作《東の風,西の風》(1930)に続く《大地》(1931)はベストセラーとなり,32年ピュリッツァー賞を受ける。これは《息子たち》(1932),《分裂せる家》(1935)と三部作《大地の家》を構成し,中華民国成立(1912)当初を時代背景に,農民から身を起こして大地主となった王家の変遷を描く。33年宣教師を辞して翌年帰国,35年離婚,R.J.ウォルシュと再婚し,アメリカに定住する。父母についての優れた伝記《戦える天使》《さすらい人》(ともに1936)で,中国農民の生活を描いた作品とともに38年アメリカ人で3人目のノーベル文学賞を受賞する。ほかに《竜子》(1942),《西太后》(1956),日本を扱った《愛国者》(1936),ジョン・セジズの名前で発表したアメリカの歴史小説など,著作多数。混血児の救済,東西の友好など平和運動にも活躍した。
執筆者:


バック
Peter Henry Buck
生没年:1877-1951

ニュージーランドの人類学者,ハワイのビショップ博物館館長(1936-51)。マオリ名テ・ランギヒロアTe Rangihiroa。父はアイルランド系,母はマオリ族出身である。北島タラナキに生まれ,オタゴ大学医学部卒業後マオリの医療に従事し,マオリ青年党国会議員として教育や保健衛生の改善につとめた。第1次大戦には軍医として参加,戦後は太平洋のポリネシア諸民族の人類学的調査と研究をハワイやイェール大学で行った。ポリネシアの歴史,生活,信仰などに関するすぐれた論文60編,著作14冊がある。主著に《偉大なる航海者たちVikings of the Sunrise》(1938)がある。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バック」の意味・わかりやすい解説

バック
Buck, Pearl

[生]1892.6.26. ウェストバージニア,ヒルズボロ
[没]1973.3.6. バーモント,ダンビー
アメリカの女流作家。旧姓 Sydenstricker。 1938年ノーベル文学賞受賞。長老教会の宣教師だった両親に伴われて幼いとき中国に渡り,自国で高等教育を受けたのち,中国に戻り,教師をつとめ,17年に宣教師 J.L.バックと結婚。中国における東西文明の問題を追求した処女作『東の風,西の風』 East Wind: West Wind (1930) に次ぐ『大地』 The Good Earth (31) によって,ピュリッツァー賞を受賞,一躍流行作家となった。この作品は『息子たち』 Sons (32) ,『分裂した家』A House Divided (35) とともに,3部作『大地の家』 The House of Earth (35) を構成する。 34年離婚して帰国。ほかに,『愛国者』 The Patriot (39) ,『竜子』 Dragon Seed (42) ,『皇太后』 Imperial Woman (56) ,短編集『最初の妻』 The First Wife (33) ,『水滸伝』の翻訳,伝記など。

バック
Buck,Linda B.

[生]1947.1.29. ワシントン,シアトル
アメリカの生理学者。ワシントン大学で心理学と微生物学を学び,1980年テキサス大学サウスウェスタン医学センターにて免疫学の博士号を取得。 1980年から 1991年までコロンビア大学でリチャード・アクセルと共同研究を行なった。その後ハーバード大学を経て,2002年からフレッド・ハッチンソン癌研究センター研究員。 1984年からハワード・ヒューズ医学研究所研究員,2003年からワシントン大学教授を兼任。 1980年代アクセルとともに嗅覚の研究を行ない,1991年共同論文を発表。マウスを使った実験で,においの受容体遺伝子が 1000種類もあることを発見,においの認識の仕組みを解明し,視覚や聴覚などほかの感覚に比べて遅れていた嗅覚研究が急速に発展するきっかけとなった。 2004年アクセルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞。

バック
Buck, Carl Darling

[生]1866.10.2. オーランド
[没]1955.2.8. シカゴ
アメリカの言語学者。エール大学卒業。シカゴ大学教授。アメリカにおけるインド=ヨーロッパ語族研究の基礎を築いた。特にラテン語とギリシア語の研究への貢献が大きい。主著『オスク語・ウンブリア語文法』A Grammar of Oscan and Umbrian (1904) ,『ギリシア語方言研究入門』 Introduction to the Study of the Greek Dialects (28) ,『ギリシア語・ラテン語比較文法』A Comparative Grammar of Greek and Latin (33) ,"A Dictionary of Selected Synonyms in the Principal Indo-European Languages" (49) 。

バック
Back, Sir George

[生]1796.11. ストックポート
[没]1878.6.23. ロンドン
イギリスの探検家,海軍軍人。特に 19世紀前半の北アメリカ大陸の北極海沿岸地方の探検で知られ,『グレートフィッシュ河口までの北極探検記』 Narrative of the Arctic Land Expedition to the Mouth of the Great Fish River (1836) ,『テラー号探検記』 Narrative of an Expedition in H. M. S. Terror (38) を残した。 1839年ナイト爵に叙せられ,57年海軍大将になった。

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百科事典マイペディア 「バック」の意味・わかりやすい解説

バック

米国の女性作家。ウェスト・バージニア州に生まれ,宣教師の娘として中国で育つ。《東の風,西の風》(1930年)以後,中国の心を欧米に伝える長編を書きつぎ,代表作は《大地》(1931年)。1938年ノーベル文学賞受賞。混血児の救済や平和運動にも力を注ぎ,エリザベスサンダースホームを開設した沢田美喜とも親交をもった。
→関連項目ピュリッツァー賞

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バック」の解説

バック
John Lossing Buck

1890~1975

アメリカの農業経済学者。1916年中国に渡り,中国農業問題の研究に従事,南京の金陵大学教授となった。その主著に『中国における土地利用』3巻がある。『大地』の著者パール・バックは前夫人である。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

367日誕生日大事典 「バック」の解説

バック

生年月日:1890年11月27日
アメリカの農業経済学者
1975年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「バック」の解説

バック

パール=バック

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世界大百科事典(旧版)内のバックの言及

【ニュージーランド】より

…文字を獲得したマオリ系研究者の好著も多い。P.H.バックの《偉大なる航海者たち》(1938)と《マオリの渡来》(1949)は歴史的,人類学的にマオリを理解する必読書である。ナタApirana Ngata(1874‐1950)の《マオリ詠唱歌集》(1929)は,彼の死後も名語り手フリヌイ・ジョーンズ博士が引き継ぎ,第3集まで刊行中である。…

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