バレッタ(読み)ばれった(英語表記)Valletta

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バレッタ」の意味・わかりやすい解説

バレッタ
ばれった
Valletta
Valetta

地中海中央部の島国マルタ共和国の首都。マルタ島北東沿岸に位置し、グランド・ハーバーとマルサムセットの2港に挟まれている。人口7100(1998)、5827(2018推計)。名称は、16世紀中葉、この地でイスラム勢力を撃退したヨハネ騎士団マルタ騎士団ともよばれる)の団長ジャン・パリゾ・デ・ラ・バレットJean Parisot de la Valette(1494―1568)にちなむ。地中海交通路の要衝にあり、グランド・ハーバーは2キロメートルほども内陸に入り込んだ湾入で、艦隊の泊地として好適であることから、1800年代初めから1979年までイギリス地中海艦隊の重要な基地であった。第二次世界大戦中の1941~1943年には、枢軸国の爆撃により被害を受けた。16世紀後半、騎士団関係の建物が多く建築され、現在は国会や政府機関、博物館などに利用されている。貿易仲継や船舶修理に加え、1月の気温が10℃台という温暖な気候を利して観光産業の振興も図られている。

田辺 裕・柴田匡平]

世界遺産の登録

歴史的建造物が多く現存する市街は1980年、ユネスコ国連教育科学文化機関)により「バレッタ市街」として世界遺産文化遺産に登録された(世界文化遺産)。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バレッタ」の意味・わかりやすい解説

バレッタ
Valletta

地中海中部の島国マルタの首都。シチリア島 (イタリア) の南方約 100km,マルタ島北東岸の小湾に臨む港町。 16世紀後半にヨハネ騎士修道会 (マルタ騎士団) ,1798年にナポレオン1世に占領され,1814年パリ条約によりイギリス領となった。以後,イギリス陸海軍の基地として発展,1964年の独立後は商港,スエズ航路の主要寄港地として,また海軍の中心地として繁栄商業が主で,工業は未発達。有名な建築物として 16世紀の聖ヨハネ大聖堂,セントエルモ堡塁,1592年創立のバレッタ大学などがあり,1980年町全体が世界遺産の文化遺産に登録された。人口 6221(2010)。

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