バン・ブレック(読み)ばんぶれっく(その他表記)Jhon Hasbrouck Van Vleck

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バン・ブレック」の意味・わかりやすい解説

バン・ブレック
ばんぶれっく
Jhon Hasbrouck Van Vleck
(1899―1980)

アメリカの物理学者コネティカット州生まれ。1922年ハーバード大学で学位を取得、ミネソタ大学を経て、1928年ウィスコンシン大学教授、1934年ハーバード大学教授。学位取得後、光の分散理論量子論的解釈の研究クラマースボルンと並行して行った。1930年ごろ常磁性体と強磁性体の違いや磁化率を説明するための基礎理論をつくり、さまざまな常磁性体塩の磁気的ふるまいを説明した。1932年に著した『電化率磁化率の理論』は最初の包括的な量子論的磁気学の著作であった。1935年には分子錯体中の軌道関数をもつ原子の軌道関数の分裂現象を最初に扱った。1977年、モットアンダーソンとともに磁性の量子力学的理論、化学結合論における業績によりノーベル物理学賞を受賞した。

高山 進]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バン・ブレック」の意味・わかりやすい解説

バンブレック
Van Vleck, John Hasbrouck

[生]1899.3.13. コネティカット,ミドルタウン
[没]1980.10.27. ケンブリッジ
アメリカの物理学者。ウィスコンシン大学卒業 (1920) 。 1922年ハーバード大学で学位取得。ミネソタ大学,ウィスイコンシン大学教授 (28) を経て,ハーバード大学教授 (34) ,名誉教授 (69) 。磁性起源を原子構造に探る研究を長く続け,すべての族の元素について,個々の原子の磁性について正確に説明する方法を仕上げて,「近代磁気学の父」とみなされている。彼が 1930年代につくった「分子場 (リガンド) 理論」は,今日でも複雑な化合物中の化学結合のパターンを理解するのに最も有力な方法となっている。磁性体および非晶質体における電子的性質の解明の業績で,77年にノーベル物理学賞を受賞した。

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百科事典マイペディア 「バン・ブレック」の意味・わかりやすい解説

バン・ブレック

米国の物理学者。1928年ウィスコンシン大学教授,1935年ハーバード大学教授。原子・分子の量子論,常磁性,反強磁性,マイクロ波についての研究は,量子化学等の発展に貢献。1977年P.W.アンダーソン,N.F.モットとともにノーベル物理学賞。

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