シャプリー(読み)しゃぷりー(英語表記)Harlow Shapley

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャプリー」の意味・わかりやすい解説

シャプリー
しゃぷりー
Harlow Shapley
(1885―1972)

アメリカの天文学者ミズーリナッシュビルに生まれる。同地の大学で数学、物理学を修め、1913年プリンストン大学でラッセルに師事し、食変光星観測をした。1914年ウィルソン山天文台ヘールのもとで球状星団内変光星を観測。1921~1952年ハーバード大学教授および同大学天文台長。1939~1944年アメリカ芸術科学院長。1943~1947年アメリカ天文学会長。1913年食変光星の大きさの決定法を考案近接連星研究に貢献した。翌年ケフェウス型変光星脈動説を提唱し、エディントンの恒星解析理論(1924)の基礎資料となった。また球状星団内脈動星に周期光度を適用し、その距離推定・空間分布から銀河系の形状と中心を見積もった。さらにマゼラン星雲アンドロメダ銀河などについて他銀河内脈動星によりその距離と大きさを提示した。晩年平和運動の組織者として活躍。イギリス王立天文協会ほか諸学会から多くの栄誉を受けた。

[島村福太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャプリー」の意味・わかりやすい解説

シャプリー
Shapley, Lloyd

[生]1923.6.2. マサチューセッツケンブリッジ
[没]2016.3.12. アリゾナ,トゥーソン
アメリカ合衆国の数学者,経済学者。フルネーム Lloyd Stowell Shapley。天文学者ハーロー・シャプリーの息子として生まれる。1943~45年アメリカ陸軍航空隊に所属,1948年にハーバード大学で学士号を取得,1948~49年ランド研究所の数学研究員として勤務する。1953年にプリンストン大学で博士号を取得,1954年にランド研究所に戻り 1981年まで勤めた。同 1981年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の経済学と数学の教授となり,2001年に同名誉教授となった。ゲームの理論の一分野の協力ゲーム理論を研究テーマとし,その研究の中心は安定したマッチングを見出すための方法の開発にあった。理論の主要概念は 1950~60年代に生みだされ,1962年にアメリカの経済学者デービッド・ゲールとの共著論文『大学入学と結婚の安定性』で,ペアごとのマッチングの問題を数学理論を使って解く方法を編み出した。2012年に「安定配分理論とマーケットデザインの実践」に関する功績により,アルビン・E.ロスとともにノーベル経済学賞を受賞した。シャプリーの理論と実証的研究,およびロスのマーケットデザインへの応用を組み合わせることで,組織や個人にとって相互の利益となる効率的なマッチングを行ない,さまざまな市場で資源をよりよく配分することが可能になった。

シャプリー
Shapley, Harlow

[生]1885.11.2. ミズーリ,ナッシュビル
[没]1972.10.20. コロンビア,ボールダー
アメリカの天文学者。ミズーリ大学卒業 (1910) 後,1913年プリンストン大学で学位取得。カリフォルニアのウィルソン山天文台勤務 (14) ,ハーバード大学教授,ウィルソン山天文台台長 (21) 。ウィルソン山天文台の 100インチ (254cm) 反射望遠鏡を用いて球状星団を研究し,球状星団がほぼ,いて座を中心として球状に分布していることを発見。また,銀河系の形を明らかにするとともに,銀河系内の太陽系の位置をほぼ正しく見出した。二重星の各恒星の大きさを見出す方法を発展させ,ケフェウス型変光星が脈動星であることを明らかにした。主著『星団』 Star Clusters (30) ,『混沌からの飛躍』 Flights from Chaos (30) ,『星と人間』 Of Stars and Men (58) など。

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