パシー(読み)ぱしー(英語表記)Frédéric Passy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パシー」の意味・わかりやすい解説

パシー(Frédéric Passy)
ぱしー
Frédéric Passy
(1822―1912)

フランスの経済学者、政治家。熱心な平和主義者として知られ、1867年に国際平和同盟、1870年に国際調停機関を設立し、ヨーロッパの平和維持に貢献した。1881年に国会議員になると、クリーマーとともに列国議会同盟創設に努力し、フランスは軍備縮小国際紛争の調停的役割を担うべきことを主張した。これらの平和への貢献によって、1901年にデュナンとともに第1回ノーベル平和賞を受賞した。経済学の著書として『政治経済学講義』(1861)が、また平和運動に関する著書として『平和運動の歴史』(1905)がある。子のP・パシー音声学者。

[藤田勝次郎]


パシー(Paul Edouard Passy)
ぱしー
Paul Edouard Passy
(1859―1940)

フランスの音声学者で、古典音声学の代表者の一人。言語教育に有用な音声の理論・表記法の研究団体「音声学教師協会」(のちに「国際音声学会」と改称)を創設(1886)した。現在の「国際音声字母」The International Phonetic Alphabet(略称IPA)は、1888年にパシーを中心に制定されたものを母体とする。父のF・パシーは、第1回のノーベル平和賞受賞者である。主著に、『Les sons du français』(1887)、『Étude sur les changements phonétiques』(1890)などがある。

山田 進 2018年7月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パシー」の意味・わかりやすい解説

パシー
Passy, Paul Édouard

[生]1859.1.13. ベルサイユ
[没]1940.11.30. ブーラレーヌ
フランスの音声学者。パリの高等学術研究院に学ぶ。 1891年『史的音韻論』 Études sur les changements phonétiquesなどで文学博士。翌年同論文で学士院ウォルネ賞受賞。 94年同研究院の一般・比較音声学講座のポストにつく。実践語学教育にも力を注ぎ,86年音声学教師学会 The Phonetic Teachers' Associationを設立して会長となり,機関誌『音声学教師』 Dhi Fonètik Tîtcerを出す。これがのちに発展し国際音声学協会と雑誌"Le Maître Phonétique" (現在は"Journal of the I. P. A.") になった。現在の国際音声字母は,パシーと H.スウィートによって基本的に制定されたといいうる。主著に『フランス語の発音』 Le français parlé (1886) ,『比較音声学小論』 Petite phonétique comparée (1922) などがある。

パシー
Passy, Frédéric

[生]1822.5.20. パリ
[没]1912.6.12. ヌイイシュルセーヌ
フランスの経済学者。ルイ・フィリップ,ルイ・ナポレオン政府の蔵相のイポリット・パシーの甥。熱烈な自由貿易論者で,R.コブデンの信奉者。 1867年国際平和連盟設立。 1877年アカデミー会員。 1881~89年に代議士。 1881年イギリスの W.クリーマーとともに国際議員同盟結成に協力した。 1901年 H.デュナン (スイス) とともに第1回ノーベル平和賞受賞。著書"Mélanges économiques" (1857) ,"La solidarité du capital et du travail" (1875) ,『平和運動の歴史』 Historique du mouvement de la paix (1905) 。

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