スウィート(英語表記)Henry Sweet

デジタル大辞泉 「スウィート」の意味・読み・例文・類語

スウィート(Henry Sweet)

[1845~1912]英国の音声学者・英語学者音声学の研究や科学的英文法樹立業績をあげた。著「音声学教本」「新英文法」など。

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精選版 日本国語大辞典 「スウィート」の意味・読み・例文・類語

スウィート

  1. ( Henry Sweet ヘンリー━ ) イギリスの音声学者、言語学者。英語史および一般音声学の研究を行ない、英語学の基礎を築く。著に「音声学教本」「英語音声」など。(一八四五‐一九一二

スウィート

  1. ( sweet ) ⇒スイート

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改訂新版 世界大百科事典 「スウィート」の意味・わかりやすい解説

スウィート
Henry Sweet
生没年:1845-1912

イギリスの音声学者,英語学者,比較言語学者。19歳でドイツ留学,比較言語学の方法論を修め,後オックスフォード大学に学ぶ。天与の音声学的才能と洞察力により現代音声学の開拓者の役割を果たすとともに,古英語アングロ・サクソン語)の研究に確実な基礎を与え,中・近代英語の研究とあいまって,英語史,とくにその初期に,近代音声学・言語学の角度から光を当てた。著書《音声学教本A Handbook of Phonetics》(1877),《英語音声史A History of English Sounds》(1874),《英語の音声The Sounds of English》(1908)は音声学の名著である。彼の考案した〈簡略ローマ字音声表記法Broad Romic〉は彼の音素観を反映している。《アングロ・サクソン語読本An Anglo-Saxon Reader》(1876),《最古英語文献The Oldest English Texts》(1885),《新英語文典A New English Grammar》2巻(1892,98),《言語の歴史The History of Language》(1900)等に彼の古英語,英語史,文法学の卓抜な学殖が示される。彼の学問が時代に先がけていたことや彼のかたくなな性格のゆえに,大学にはいれられず教授の職につくことなく世を去った。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スウィート」の意味・わかりやすい解説

スウィート
すうぃーと
Henry Sweet
(1845―1912)

イギリスの英語学者、言語学者、音声学者。ドイツのハイデルベルク大学に学び、英語の歴史的研究の方法を知ったが、これに飽き足らず、真にイギリス的な英語学を独力で構築した。活動は多方面にわたるが、性格が災いしてか、あまりに時代に先んじていたためか、地位に恵まれず、オックスフォード大学の音声学準教授にとどまった。英語史ことに古期英語の研究、科学的な英文典の発表、英語のみならず諸国語の音声学的研究、優れた教科書および辞書の編集執筆、どれをとっても当時の国際的水準を抜き、今日なお十分に参照するに足る業績を残し、いまに至るまでイギリス最高の学者の名に恥じない。その学風は、イギリスではワイルドHenry Cecil Wyld(1870―1945)、デンマークではO・イェスペルセンに継承された。

[三宅 鴻 2018年7月20日]

『H・スウィート著、東浦義雄訳『古代英語文法入門』(1978・千城)』『ヘンリー・スウィート著、小川芳男訳『言語の実際的研究』(1986・英潮社新社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スウィート」の意味・わかりやすい解説

スウィート
Sweet, Henry

[生]1845.9.15. ロンドン
[没]1912.4.30. オックスフォード
イギリスの言語学者。音声学と英語学の研究に従事し,科学的英語学の基礎を築いた。音声学の分野では大陸の諸学者とともに一般音声学の確立に努力した功績が大きく,言語音声の表記のために A.ベルのビジブルスピーチを改良した「器官的記号」 organic notationを考案する一方,ローマ字を基礎とする2種の記号 broad Romic (簡略ローマ字式) と narrow Romic (精密ローマ字式) とを考案した。それらは現在の国際音声字母の基礎となる一方,前者 broad Romicは現在の音韻表記のさきがけとなった。英語学の分野では特に古期英語の研究に専念し,多数の古期英語,中期英語の文献を編集した。主著に,『音声学便覧』 Handbook of Phonetics (1887) ,『音声学入門』A Primer of Phonetics (92) ,『英語の音声』 The Sounds of English (1908) など音声学の著作のほか,『古英語読本』 Anglo-Saxon Reader (1876) ,『新英文法』 New English Grammar (2巻,91~98) ,『言語史』 The History of Language (1900) などがある。

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世界大百科事典(旧版)内のスウィートの言及

【音声記号】より

…またロシアではロシア文字が利用され,[p]を[п],[b]を[б]としるしている。 このほかに特別な記号を字母的に用いたものにH.スウィートの器官的記号がある。彼は前舌高母音[i]にɾ,中母音[e]に,低母音にの記号をあて,閉鎖音[p]を,[t]を,[k]をと表している。…

【文法】より

…さらに,そうした伝統的なラテン語文法にならって,やがて当代のヨーロッパ諸言語の文法の研究も徐々に行われるようになり,これらを〈伝統文法〉と呼んでいる。たとえば英語では,19世紀末にH.スウィートが,また20世紀前半にO.イェスペルセンが,いずれも〈伝統文法〉の集大成ともいうべき業績を残している。一方,18世紀末にヨーロッパ諸言語とサンスクリットなどの類似が指摘されると,19世紀には,それら諸言語――一般的な言い方をすれば,歴史的に共通の祖にさかのぼると考えられる諸言語――を相互に比較してその歴史的な関係を究明しようとする〈比較文法〉が興った(〈比較文法〉という語は前掲の〈対照文法〉とは異なり,このように限定的な意味で用いる)。…

※「スウィート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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