日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒヤデス」の意味・わかりやすい解説
ヒヤデス(散開星団)
ひやです
Hyades
おうし座にある散開星団。和名は「つりがね星(ぼし)」。おうし座α(アルファ)星アルデバランの周辺に散在する星々がつくる星団であるが、アルデバランは星団には属さない。太陽にもっとも近い星団であり、その距離は160光年で、視直径(天体の見かけ上の直径。角の大きさ=角度で表す)は約330分角(1分は円周=360度の2万1600分の1の角度)である。ヒヤデスは運動星団の典型であり、星団の星々は、天球上の1点(オリオン座のベテルギウスの近く)に収束するようにみえる運動をしている。そのために星団までの距離を精度高く知ることができる。ヒヤデスの距離は宇宙の距離尺度の基礎の一つとして重要である。
[大脇直明]
『ロジャー・B・カルバー著、長谷川俊雄訳『実験天文学ワークブック』(1988・恒星社厚生閣)』▽『野尻抱影著『野尻抱影の本1 星空のロマンス』(1989・筑摩書房)』