ヒヤデス(読み)ひやです(英語表記)Hyades

翻訳|Hyades

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒヤデス」の意味・わかりやすい解説

ヒヤデス(散開星団)
ひやです
Hyades

おうし座にある散開星団和名は「つりがね星(ぼし)」。おうし座α(アルファ)星アルデバランの周辺に散在する星々がつくる星団であるが、アルデバランは星団には属さない。太陽にもっとも近い星団であり、その距離は160光年で、視直径天体の見かけ上の直径。角の大きさ=角度で表す)は約330分角(1分は円周=360度の2万1600分の1の角度)である。ヒヤデスは運動星団典型であり、星団の星々は、天球上の1点(オリオン座ベテルギウスの近く)に収束するようにみえる運動をしている。そのために星団までの距離を精度高く知ることができる。ヒヤデスの距離は宇宙の距離尺度の基礎の一つとして重要である。

[大脇直明]

『ロジャー・B・カルバー著、長谷川俊雄訳『実験天文学ワークブック』(1988・恒星社厚生閣)』『野尻抱影著『野尻抱影の本1 星空のロマンス』(1989・筑摩書房)』



ヒヤデス(ギリシア神話)
ひやです
Hyades

ギリシア神話のニンフたち。「雨を降らす女たち」の意味で、普通アトラスの娘とされる。古くより2人から7人までのさまざまの人数があげられている。ゼウスからディオニソス養育を命ぜられたが、ヘラを恐れて逃げ出したため、ゼウスによっておうし座の群星に変えられたという。これがプレアデス星団とともにおうし座に含まれるヒヤデス星団である。この星団が太陽と同時刻に昇る時期(6月上旬)は、ちょうど雨期にあたると考えられていた。

[伊藤照夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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