ビオン(読み)びおん(英語表記)Bion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビオン」の意味・わかりやすい解説

ビオン[ボリュステネス]
Biōn of Borysthenes

前3世紀前半頃在世のボリュステネス出身の哲学者。当初奴隷であったが,のち解放されてアテネに出て,アカデメイアクセノクラテスリュケイオンテオフラストスに学んだ。のちにキュニコス派クラテスキュレネ派テオドロスの影響を受けたが,結局はどの派にも属さずソフィストのように報酬を受けながら各地を流浪した。特に彼のディアトリベと呼ばれた独特のはなやかな文体大衆に好まれ学説普及に貢献した。

ビオン
Biōn

前 100年頃活躍したギリシア牧歌詩人。テオクリトスを模倣した『牧歌』 Būkolikaのうち,完全なものと断片とを合せて 17編が現存。なかでも『アドニス哀歌』 Epitaphios Adōnidosは特に有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビオン」の意味・わかりやすい解説

ビオン
びおん
Bion

生没年不詳。古代ギリシアの牧歌詩人。紀元前2世紀の人。小アジアのプロサに生まれ、生涯のほとんどをシチリア島で過ごした。代表作『アドニス哀悼歌』は、アドニスの死と女神アフロディテの悲しみを歌う叙情的な作品で、その言語モチーフはテオクリトスの影響を強く受けている。このほか、若干の詩の断片が残存する。これらの詩は愛を主題としており、牧歌的要素はほとんど認められない。文体は素朴で平明である。

[岡 道男]

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