クセノクラテス(読み)くせのくらてす(英語表記)Xenokrates

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クセノクラテス」の意味・わかりやすい解説

クセノクラテス
くせのくらてす
Xenokrates
(前396ころ―前314ころ)

古代ギリシア哲学者小アジアカルケドンの人。紀元前380年ごろアテネに出てプラトンに師事し、前339年から没するまでアカデメイアの第3代学頭を務めた。師説の忠実な後継者たらんとしたが、第2代学頭のスペウシッポスよりもさらに数学傾向を強め、イデアと数とは同じものであると説いた。アリストテレスは彼らのことを「いまの人々にとっては数学が哲学となった」と嘆いている。また図式的体系を好み、知の対象は天空の外、感覚の対象は天空の内、天体そのものは臆見(おくけん)の対象、といった説をたてたらしい。

[田中享英 2015年1月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クセノクラテス」の意味・わかりやすい解説

クセノクラテス
Xenokratēs

[生]前396/前395
[没]前314/前313
カルケドン生れのギリシアの哲学者。人格者として知られるアカデメイア第3代の学頭。哲学的にはプラトニズムからピタゴラス派に近づきその数論を重んじイデアと数を同一視した。彼はまた霊魂の不滅を教えダイモンについてのピタゴラス派の神秘的な教説に同調した。その倫理学は本質的にプラトン的であるが,彼は初めて哲学を論理学自然学,倫理学の3部門に区分した。

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