ビゴー(読み)びごー(英語表記)Georges Ferdinand Bigot

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビゴー」の意味・わかりやすい解説

ビゴー
びごー
Georges Ferdinand Bigot
(1860―1927)

フランスの画家パリに生まれ、エコール・デ・ボザールに学ぶ。ゾラやフェリックス・ビュオらとの交際によりジャポニスムの影響を受け、日本に関心をもつ。ビュオに銅版画技術を学び、1882年(明治15)1月、日本美術研究のため来日。当初は横浜で画塾を開くが、同年10月から2年間、陸軍士官学校の画学教師を務め、83年から86年にかけて四冊の銅版画集を刊行。87年ころ帰国を決意するが、西欧ジャーナリズムの通信員の仕事を得て長期滞在するようになり、同時に『トバエ』(1887~90)などの風刺雑誌や風刺画集を刊行し始めるが、条約改正、内外政局、日本人の辛辣(しんらつ)な風刺で官憲にマークされる。日清(にっしん)戦争にはイギリスの新聞『グラフィック』の特派画家として従軍。94年に日本女性佐野マスと結婚して息子モーリスをもうけるが、条約改正による「居留地廃止・官憲の弾圧」を恐れ、マスと離婚し、99年6月モーリスを伴って帰国。パリ郊外ピエーブルに没。

清水 勲]

『清水勲著『明治の諷刺画家・ビゴー』(1978・新潮社)』『清水勲著『絵で書いた日本人論――ジョルジュ・ビゴーの世界』(1981・中央公論社)』『清水勲編『ビゴー日本素描集』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビゴー」の意味・わかりやすい解説

ビゴー
Bigot, George

[生]1860.4.6. パリ
[没]1927
フランスの画家。日本では漫画家として知られる。美郷美好とも書く。パリの美術学校に学び,日本美術研究のため 1883年頃来日,一時陸軍士官学校の教師をつとめたが,のち『郵便報知』『改進新聞』の挿絵,また,藤田鳴鶴訳『繋思談』,佐野尚重訳『想夫恋』などの挿絵を描いた。 1887年前後に漫画雑誌"Tôbaé"を創刊。日本の風習や時事問題を取り上げて評判になった。同誌廃刊後は"Tôbaé Sport" (1890) ,"Vie Japonaise" (1890) ,"Potin de Yoko" (1890) を出した。日清戦争のときはフランスの新聞社の通信員として活躍したが,1899年には筆禍のため日本を去った。

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