ビショップ環(読み)ビショップカン(その他表記)Bishop's ring

デジタル大辞泉 「ビショップ環」の意味・読み・例文・類語

ビショップ‐かん〔‐クワン〕【ビショップ環】

光冠の一。火山爆発で噴き上げられた細塵さいじん上空に滞留しているとき、太陽の光が回折されるため、その周りに見られる赤褐色の大きな光輪。1883年のインドネシアのクラカタウ火山爆発時には世界各地で観測された。名は、ハワイ最初に観測した米国ビショップ(S.E.Bishop)にちなむ。ビショップの輪。

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精選版 日本国語大辞典 「ビショップ環」の意味・読み・例文・類語

ビショップ‐かん‥クヮン【ビショップ環】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Bishop's ring の訳語 ) 火山の大噴火後、成層圏にまで吹きあげられた火山灰などによって太陽光が回折された結果あらわれる、視半径約二〇度の光冠現象。幅が約一〇度あり、外側はやや赤味をおびる。最初にハワイで発見したアメリカ人ビショップの名にちなむ。〔日本気象(1956)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ビショップ環」の意味・わかりやすい解説

ビショップ環 (ビショップかん)
Bishop's ring

光冠一種で,激しい火山爆発で細かい火山灰が空高く成層圏にまで噴き上げられた時などに見える。1883年インドネシアのクラカタウ火山の爆発の時,ハワイの宣教師ビショップS.E.Bishopが,この現象の学問的な記録を残しているので,その名前をとってビショップ環という。環の外側は赤褐色内側青色で,その半径は太陽から角度で20度以上に達するが,これから火山灰の直径を推算すると2μm以下となる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビショップ環」の意味・わかりやすい解説

ビショップ環
びしょっぷかん
Bishop's ring

太陽や月の周りにみられる褐色がかった光の輪。火山爆発で噴き上げられて上空に浮遊する微細な灰の粒子によって、太陽や月の光が回折されてできる現象。光冠の一種で、灰の粒子がきわめて小さいので光の輪の半径は比較的大きく、約20度くらいである。1883年8月にインドネシアのスンダ海峡にあるクラカタウ島の火山大噴火後は世界各地で約3年間に及んで観測された。命名はハワイでの最初の観測者にちなむ。

[大田正次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビショップ環」の意味・わかりやすい解説

ビショップ環
ビショップかん
Bishop's ring

晴れた空に太陽のまわりに現れる赤褐色のぼんやりした環。昼頃では,環の内径は約 10°,外径は約 20°であるが,太陽高度が低いときの環はもっと大きくなる。ビショップ環が最初に見られたのは,1883年のインドネシアのクラカトア火山の大爆発のあとで,世界各地で 1886年まで見ることができた。近年では 1991年のフィリピンのピナツボ山噴火後に観測された。名前はハワイで最初に観測したビショップ牧師にちなむ。高層大気中の微細な塵による回折現象によるものであり,その外径から,細塵の直径の平均は 0.00185mmと見積もられている。

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百科事典マイペディア 「ビショップ環」の意味・わかりやすい解説

ビショップ環【ビショップかん】

ビショップの輪とも。水滴以外の微小浮遊物による光冠と類似の現象。たとえば大きな火山爆発で吹き上げられた細塵(さいじん)が大気上層に滞留しているとき,太陽の周囲に見られる赤褐色の光輪。視半径は約20°,幅は約10°。1883年8月のクラカタウ火山爆発の後,ハワイの宣教師ビショップが発見したことにちなんで名付けられた。

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