フィロキノンともいう.血液凝固を促進する脂溶性ビタミン.血液凝固に必要な因子のⅡ因子(プロスロンビン)やⅦ因子,Ⅸ因子,Ⅹ因子の生合成に関係する.凝固(Koagulation,独語)のKをとって命名された.1939年,E.A. Doisy(ドイジー)らは,アルファルファ(牧草)と腐敗魚粉から2種類のビタミンK物質を分離して,ビタミン K1,K2 と命名した.これらの物質がキノン構造を有することを推定して,数多くのキノノイドについて検討し,2-メチル-1,4-ナフトキノンが有効であることを明らかにした.これが現在ビタミン K3 とよばれているものである.いずれも水に不溶,有機溶媒に可溶.光,アルカリなどによって容易に分解される.空気,湿気に対しては比較的安定である.なお,出血剤ジクマロールはビタミンKのアンチビタミンである.【Ⅰ】ビタミン K1:フィロキノン,フィトナジオン,2-メチル-3-フィチル-1,4-ナフトキノンともいう.C31H46O2(450.17).鮮黄色の油.融点-20 ℃.紫外線照射により変性する紫外線.照射により殺菌された牛肉でネズミを飼育すると,ビタミンK欠乏症を示した.[CAS 84-80-0]【Ⅱ】ビタミン K2:メナキノン,2-メチル-3-マルチプレニル-1,4-ナフトキノンともいう.構造式のn = 2~10で,天然には6,7,8が多い.腐敗魚粉から単離されたビタミン K2 はn = 7のメナキノン-7で,C46H64O2(649.02).融点54 ℃.メナキノン-6はC41H56O(580.89).融点53.5~54.5 ℃.これはまたファルノキノン(2-メチル-3-ジファルネシル-1,4-ナフトキノン)ともよばれる.いずれも淡黄色の結晶.生物活性は,メナキノン-4~7ではビタミン K1 の約1.2倍.ほかはビタミン K1 より低い.[CAS 84-81-1]【Ⅲ】ビタミン K3:C11H8O2(172.18).メナジオン(menadion)ともいう.天然には存在しない合成ビタミン.2-メチルナフタレンのクロム酸酸化により合成される.黄色の結晶.かすかな刺激臭をもち,粘膜,呼吸器,皮膚などを刺激する.融点105~107 ℃.毒性の面で医薬としての利用は禁止されているが,配合飼料や動物医薬用として相当量合成されている.[CAS 58-27-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…作用機序のうえからは,血液凝固促進薬,繊維素溶解系阻害薬,血管強化薬などが含まれる。(1)血液凝固を促進する薬物 ビタミンKはナフトキノン誘導体で,天然にはK1(フィトナジオン)とK2が存在し,K3(メナジオン)は合成薬である。これらは,プロトロンビン,VII,IX,X因子など血液凝固に必要な因子の肝臓での合成を促進して止血効果をあらわす。…
…ビタミンDの抗くる病作用は,1α,25‐(OH)2‐D3によって,腸管からのカルシウム吸収が増大し,骨におけるカルシウムの結晶化(化骨)が骨基質において促進するためと考えられている。また,骨のビタミンK依存性カルシウム結合タンパク質(オステオカルシン)の生合成にも,ビタミンDは関与しているといわれている。オステオカルシンはカルシウム代謝と関連して,骨組織の石灰化になんらかの影響を与えるのではないかと考えられている。…
※「ビタミンK」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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