ピグマリオン効果(読み)ぴぐまりおんこうか(英語表記)pygmalion effect

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピグマリオン効果」の意味・わかりやすい解説

ピグマリオン効果
ぴぐまりおんこうか
pygmalion effect

期待することによって、対象者からやる気が引き出され、成績が向上する現象をさす心理学用語。キプロスの王ピグマリオンが自分で彫った象牙(ぞうげ)の乙女像を愛し続けた結果、乙女像が本物の人間になったというギリシア神話にちなんでこうよばれる。「教師期待効果」あるいは「ローゼンタール効果」ともいわれる。逆に、周りから期待されていない対象者の成績や成果が、平均値を下回る現象を「負のピグマリオン効果」「ゴーレム効果」とよぶ。

 ドイツ生まれでアメリカの教育心理学者ローゼンタールRobert Rosenthal(1933―2024)が1963年から1964年の一連実験で、実際には無作為に抽出しながら、「将来、成績が伸びる子ども」などと偽った情報を教師にあたる実験者に与えると、その無作為に抽出された初等教育段階の子どもの成績が平均以上になる現象を報告した。この効果は、担任教師が子どもに期待をかけてていねいに扱い、子どもたちも期待されていることを意識するため、平均以上の成果が確認できると説明されている。他方、ピグマリオン効果は実際には確認できておらず再現性もないとして、教師や指導者の心構え程度の概念と考えるべきだとの意見がある。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例