ファーガソン(読み)ふぁーがそん(英語表記)Adam Ferguson

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファーガソン」の意味・わかりやすい解説

ファーガソン
Ferguson

アメリカ合衆国中部,ミズーリ州東部の都市セントルイス北西部の郊外住宅地域。1885年に農場主ウィリアム・B.ファーガソンが,土地をノース・ミズーリ鉄道に譲渡したことが町の起源。ファーガソンは譲渡の条件として鉄道駅をつくることを要求し,また周辺の土地を入植者に売却したことで住宅・商業地域が発達した。19世紀末に通勤列車と路面電車運行を開始するとさらに発展。1894年市として法人化。20世紀以降も着実に成長し,第2次世界大戦後には大幅な経済成長と人口増を経験した。1954年には自治権をもつ憲章都市となり,シティ・マネージャー制の行政組織を採用。製造技術大手エマソン・エレクトリックの本社やセントルイス・コミュニティ・カレッジのキャンパスが所在する。複数の州間幹線道路にアクセス可能。2014年8月,丸腰のアフリカ系アメリカ人少年が白人警察官に射殺された事件は,人口の大多数であるアフリカ系と,職員のほとんどを白人が占める市当局や警察との緊張関係を背景に,数日に及ぶ暴動と抗議活動に発展し,アメリカ全土のみならず世界の注目を集めた。同 2014年11月に警察官の不起訴が発表されると,市内で新たな暴動が発生したほか,アメリカ国内の別の都市でも抗議行動が起こった。人口 2万1203(2010)。

ファーガソン
Ferguson, Robert

[生]1637頃. アバディーンシャー
[没]1714. ロンドン
スコットランド聖職者。「陰謀者」Plotterと通称される。長老派であったため,1662年ケントの聖職禄を追われ,チャールズ2世治世末期にはホイッグ党急進派になり,ライ・ハウス事件に関与してオランダに亡命。この地でモンマス公に取り入って叛意をあおり,1685年従軍牧師としてモンマス公反乱に加わり,敗れて再度オランダに逃亡。次にオランニェ公ウィレム(のちのウィリアム3世)に仕え,1688年ウィレムの侵寇軍に加わってイングランドに上陸。しかし過大な褒賞を要求して嫌われたことから一転してジャコバイトになり,1706年『名誉革命史』The History of the Revolutionを著して革命はバチカン教皇)の陰謀であったと主張したほか,各種の反政府陰謀にかかわった。

ファーガソン
Ferguson, Adam

[生]1723.6.20. パースシャー,ローギレイト
[没]1816.2.22. セントアンドルーズ
イギリス哲学者,歴史学者。セントアンドルーズ大学卒業後,聖職者を経てエディンバラ大学の自然哲学教授 (1759~64) ,神学,道徳哲学教授 (64~85) をつとめた。エディンバラ学派の一人主著『市民社会史』 An Essay on the History of Civil Society (1767)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファーガソン」の意味・わかりやすい解説

ファーガソン(Adam Ferguson)
ふぁーがそん
Adam Ferguson
(1723―1816)

イギリスの歴史家、道徳哲学者。スコットランドのパースシャー生まれ。従軍牧師を務めたのち、エジンバラ大学教授。リード、ヒューム、スチュアートDugald Stewart(1753―1828)、アダム・スミスらと親交があり、スコットランド学派に属す。代表作『市民社会史論』(1767)は、人間と社会の相互関係を重視する視点にたって、人間が野蛮な状態から政治的、社会的に洗練されてゆく過程を描いている。しかし、方法としては経験主義的であり、また、社会発展のダイナミズムへの視点を欠き、この点で18世紀歴史家の典型ともいえる。倫理学では、社会発展の要素として自由な精神による公平な競争を認める。著書はほかに『道徳学と政治学の原理』(1792)などがある。

[小池英光]


ファーガソン(James Fergusson)
ふぁーがそん
James Fergusson
(1808―1886)

イギリスの建築史家。スコットランドのアイルに生まれ、元来はインド藍(あい)の栽培商であった。1829年インドのカルカッタ(現、コルカタ)で商業活動を営み始めてから、遺跡、古代建築物に強い関心をもった。1834~1845年のインド半島全域踏査は、古代インド建築史の本格的な究明として大きな功績を残している。こののちイギリスへ戻り、インドを中心にした東方建築と西洋建築の歴史的な比較研究を展開、数多くの論文、図集を著し、王立アジア協会、王立建築家協会の要職を歴任した。

[村松貞次郎・藤原恵洋]

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