翻訳|subscription
商品やサービスを買い取るのではなく、一定期間利用する権利に料金を支払う方式。英語で定期購読を意味し、略して「サブスク」と呼ばれる。消費者のニーズが「所有から利用へ」と変化する中、動画配信サービスや自動車、玩具など多様な分野で導入が進む。月ごとなどに定額を払うのが一般的で、初期費用を抑えられる利点がある。
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(金谷俊秀 ライター/2019年)
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一定料金を払えば、一定期間内なら商品やサービスを何度も自由に利用できるビジネスモデル。日本では「定額制」「定額課金」などと訳される。略称はサブスク。たとえばCDやDVDなどの物を「所有」するのではなく、そこに記録された情報を「利用」し「体験」する消費スタイルへの転換を意味する。もともと雑誌の「定期購読」「予約購読」の意味であったが、リーマン・ショック後のアメリカで消費者の節約志向が高まり、追加料金なしに最新サービスを自由に利用できるとして、ソフトウェアや動画・音楽配信の分野で普及してきた。代表例が、世界190か国・地域以上で動画配信するネットフリックスNetflix、80か国以上で楽曲を聞けるスポティファイSpotify、企業向けオフィスアプリケーションのOffice365などである。日本でも、新車を定額で利用できるKINTO(キント)(トヨタ自動車)、3年あるいは5年ごとに最新テレビと交換できる「安心バリュープラン」(パナソニック)、ブランドバッグが使い放題の「ラクサス」など、自動車、家電、ファッション、食品・飲食店、ゲーム、電子書籍・雑誌など幅広い分野にサブスクリプションが広がっている。
サブスクリプションには、消費行動やライフスタイルの変化にあわせ、料金の上げ下げ、新サービスの提供、既存サービスの休止などを機動的に決められる利点がある。一方で、絶えず消費者を飽きさせないくふうが求められ、低コストで商品やサービスを提供し続ける必要がある。つまりサブスクリプションは消費者データを基に、消費者との結びつき(エンゲージメント)を強め、ひとりひとりの消費者から得るトータル売上高(ライフタイムバリューlife time value:LTV)を最大化していくビジネスモデルである。「所有」から「利用」へ消費者の価値観が変化するのにあわせ、多くの企業が従来の「売り切り型」から「サブスク型」へと転換し始めている。
[矢野 武 2019年8月20日]
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