日本大百科全書(ニッポニカ) 「フエフキダイ」の意味・わかりやすい解説
フエフキダイ
ふえふきだい / 笛吹鯛
Japanese scavenger
Chinese emperor
common lentjan
[学] Lethrinus haematopterus
硬骨魚綱スズキ目フエフキダイ科に属する海水魚。新潟県以南の日本海沿岸、神奈川県以南の太平洋沿岸、東シナ海、南西諸島、台湾沿岸、南シナ海などに分布する。フエフキダイ類のなかでもっとも北にまで分布する種で、日本海に多く、太平洋岸や南西諸島には少ない。体は卵形で側扁(そくへん)する。体高は頭長より著しく高い。吻(ふん)はやや突出し、頭の上部外郭は吻端から後頭部まで直線状。眼下幅は広い。両顎(りょうがく)前部に各2対の犬歯が、側部に1列の臼歯(きゅうし)状円錐歯(えんすいし)がある。頬(ほお)に鱗(うろこ)のないのがこの類(フエフキダイ属)の特徴。背びれ棘(きょく)部中央基底と側線の間の上方横列鱗(おうれつりん)数は5枚。胸びれの腋部(えきぶ)の内側に鱗がないか、あっても数枚。全長約60センチメートル。体背部は赤みを帯びた紫褐色で、腹部は淡褐色。各鱗に暗色斑(はん)がある。目の前から目の縁に沿って目の下まで達する不連続な青色の線がある。各ひれは淡紅色。口内は鮮紅色。この色から和歌山、高知、熊本などの諸県ではクチビ、クチミなどとよばれる。沿岸の岩礁域から水深100メートル以浅の砂泥底にすみ、甲殻類や小形の魚類などを食べる。産卵期は5~6月。一本釣り、定置網、底引網などで漁獲される。肉は白くて美味。刺身、塩焼き、煮つけなどにして賞味される。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年9月19日]