フェルセン(読み)ふぇるせん(その他表記)Hans Axel von Fersen

デジタル大辞泉 「フェルセン」の意味・読み・例文・類語

フェルセン(Velsen)

オランダ西部、ノルトホラント州の都市。アムステルダム北海をつなぐ北海運河の出口に位置する。1920年代に国営の製鉄所が建設され、臨海工業都市として発展した。フェルゼン。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェルセン」の意味・わかりやすい解説

フェルセン(Hans Axel von Fersen)
ふぇるせん
Hans Axel von Fersen
(1755―1810)

スウェーデン伯爵軍人。1770年以後ドイツ諸邦、フランスなどで軍務につき、1780年アメリカ独立戦争に参加。1783年フランスに戻り、ルイ16世王妃(マリ・アントアネット)の愛人となった。1784年帰国し、グスタフ3世の寵臣(ちょうしん)となって、1788年以後その代理としてたびたびフランスを訪れ、1791年ルイ16世一家の国外亡命を手配した。1792年に帰国。1796年グスタフ4世Gustav Ⅳ(1778―1837、在位1792~1809)の信任を得、1797年使節としてラスタットに赴きナポレオンと衝突。1801年宮内相、1802年中将となった。1805年以後国王の顧問として戦争指揮に参加したが、のちに国王との対立を生じ、1809年3月の革命の際は中立を守った。革命後大将に昇進、枢要の地位を保ったが、保守的立場を堅持し、グスタフ4世の王子の擁立を主張して孤立した。1810年5月、新国王カール13世Karl ⅩⅢ(グスタフ4世の叔父。1748―1818、在位1809~1818)の養嗣子(ようしし)カール・アウグスト急死すると、フェルセンに毒殺の嫌疑がかけられ、6月20日カール・アウグストの葬儀の際、ストックホルム市民に襲撃され、殺害された。

[本間晴樹 2022年8月18日]


フェルセン(オランダ)
ふぇるせん
Velsen

オランダ西部、ノールト・ホラント州にある工業都市。人口6万6977(2001)。アムステルダムから北海へ通じる北海運河の北海側出口に位置し、鉄鋼業をはじめとする重工業が発達する。運河南岸のアイモイデンIJmuiden地区は、1876年に北海運河が完成して以来アムステルダムの外港として発展したが、1924年に北岸のフェルセン地区に国営製鉄所が建設されてからは臨海工業地域となり、造船、航空機、電子などの工業が立地する。運河出口にある長さ400メートル、幅50メートルの閘門(こうもん)は世界最大級。

[長谷川孝治]

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改訂新版 世界大百科事典 「フェルセン」の意味・わかりやすい解説

フェルセン
Hans Axel von Fersen
生没年:1755-1810

スウェーデンの伯爵,陸軍元帥。フランス軍の将校としてアメリカ独立戦争に従軍,帰仏後国王の外交官としてフランス事情を本国に伝え,その間マリー・アントアネット王妃の愛人となり,1791年のフランス王家の亡命を画策したが失敗した。帰国後99年にウプサラ大学学長に任命され,1810年,皇太子が急死,毒殺されたとの噂が広まり,その嫌疑をかけられ,皇太子葬儀に参列した際,暴徒化した群集に殺された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェルセン」の意味・わかりやすい解説

フェルセン
Fersen, Hans Axel, Greve av

[生]1755.9.4. ストックホルム
[没]1810.6.20. ストックホルム
スウェーデンの軍人,外交官。伯爵。 F.フェルセンの子。フランス軍に勤務,アメリカ独立戦争の際,アメリカに派遣された。マリ・アントアネットと親しく,フランス王家と親交を結び,革命下にあって王家の逃亡を手配し (1791) ,のち反革命同盟軍の結成に従事。帰国後,王位継承者クリスティアン・アウグスツスの急死に責任があると疑われ,葬儀中を群衆に襲われて落命。

フェルセン
Velsen

オランダ北西部,ノールトホラント州の都市。アムステルダムの北西約 18km,アムステルダムと北海を結ぶ北海運河の河口付近に位置する。河口のアイモイデン,サントポールトなどは市域の一部を形成。運河の下をフェルセン・トンネルによって鉄道,道路が通じている。オランダの鉄鋼業の中心地で,冶金,化学,製紙などの工業も行われる。運河北岸のベフェルワイクと連接して大都市圏を形成。人口6万 1506,大都市圏 13万 628 (1992推計) 。

フェルセン
Fersen, Fredrik Axel, Greve av

[生]1719.4.15. ストックホルム
[没]1794.4.24. ストックホルム
スウェーデンの軍人,身分制議会議員。伯爵。ハット党 (→キャップ党・ハット党 ) の指導者。当時政権をとっていたキャップ党に反対しグスタフ3世と結ぶにいたったが,その絶対王政に失望,政治から身をひいた (1789) 。

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