フランスで伝統的につくられているパン。古代エジプトのイシス神によって創製されたとされる発酵パンは、ギリシア、ローマ時代を経てヨーロッパへ伝わったが、このコンチネンタル系の正統を誇っているのがフランスパンである。フランスはコムギの育種に優れており、量・質ともに世界的に高く評価されている。フランスのガストロノミー(食道楽)に伴ってつくられたフランスパンは、最高文化のシンボルとされている。
タンパク質10.5%程度、延びの長いグルテンを特性とした粉を用い、高温、自由焼きによってぱりっとした固いクラスト(外皮)と、薄く粗い目の気泡のクラム(中身)に仕上げる。皮の焦げ色や光沢に加えて、独特の香味がフランスパンの最大の特徴であるが、この香りが保てるのは焼き上げ後4時間くらいで、8時間もたてば味も落ちてくるという生命の短いパンである。
種類は大別してシンプルとリッチに分けられる。シンプル系のパンは、小麦粉、食塩、酵母だけの基本配合によって小麦粉本来の持ち味を味わうもので、生地(きじ)の重量、焼き時間によって形の大小、クラストとクラムの比率に変化のあるものがつくられる。リッチ系のパンは、栄養面を考え、嗜好(しこう)にあわせて卵、ミルク、バターなどが加えられ郷土的特徴をもたせている。代表的なクロワッサンは、小麦グルテンと油脂を層状に重ねた生地からつくられる三日月形のパン、ブリオッシュは卵、ミルクでリッチにした生地を台にして種々な形につくられている。
このように伝統を守ってきたフランスパンに対して、合理化を進めてきたアングロ・アメリカ系パンは、生地に動物資源を含まないのを原則とし、クラストとクラムはそれぞれ異なった加熱方式をとり、市場生命も3週間から最終的には3か月のものを完成する企画を進めている。細胞分裂によるパン酵母でつくられてきた正統のパン製法に、細胞融合の可能性を発見し、酵母の機能を変える技術開発が今後のフランスパンに求められている課題である。
[阿久津正蔵]
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