翻訳|freezing
食品を凍らせて冷凍食品にし、保存すること。冷凍には、緩慢凍結、急速凍結、パーシャルフリージングの区別がある。緩慢凍結は、文字のとおり、ゆっくり凍らせることで、普通、家庭用の冷凍庫内では、この状態で冷凍されることが多い。また、天然の寒冷気を利用して、豆腐、こんにゃく、餅(もち)、寒天などを凍らせるのも緩慢凍結の一種である。多くの食品は、水以外に各種の成分を含んでいる。そのため、凍結を始める温度(凍結点)が零度ではなく、もっと低い温度となる。通常、零下2.5℃以下になると、すべてのものが凍り始めるとされている。したがって、この温度以下になれば、順次食品は凍っていき、やがて全体が凍る。このとき、時間をかけて凍らせるほど、氷の結晶が大きく成長し、食品の種類によっては、細胞が氷の結晶で破壊され、解凍したときに細胞中の液汁などが出て、食品の味が大きく低下することが多い。しかし、脂肪分を多く含むものやタンパク質が主体のものでは、緩慢凍結を行っても、氷の結晶が大きくできないため、食品に影響のないことが多い。また、糖分の多いものも同様である。したがって、ベーコンのような脂肪分を多く含む肉類、バター、卵白、糖分の多い菓子類、パイ生地(きじ)などは家庭用の冷凍庫で緩慢凍結しても品質には影響がない。
しかし、脂肪分の少ない肉類、魚、調理品などは、緩慢凍結によっていくらか味が低下する。野菜類でも、ゆでたのち冷凍するが、ゆっくり凍らせると味の変化や組織の変化により口あたりのよさが失われる。そこで、氷の結晶が大きく成長しないよう、非常に低温で急速に冷凍すると、よい状態で食品が保存できることがわかり、1950年(昭和25)ごろからこれが採用された。急速凍結の初めは、零下40℃程度の低温で冷凍していたが、やがて、零下70℃くらいの低温が得られるようになり、さらに、液体窒素の零下196℃や、液化天然ガスの気化のときの冷熱を利用して零下160℃前後で急速凍結することが行われるようになった。この方法だと、漁獲した魚などを鮮度の高いうちに船上で急速凍結し、冷凍保存できるから、鮮度のよい魚を長く確保できる。したがって、遠洋漁業などが有利にできるようになった。また、各種の調理食品なども、瞬間的に凍結することで味を落とさずに冷凍が可能となり、冷凍食品の普及に大きく貢献した。
急速凍結であっても生(なま)の状態とはまったく同じというわけにはいかない。微細な氷の結晶といえども、味や食品の組織に影響を与える。そこで開発されたのがパーシャルフリージングである。これは、1960年代、バンクーバー(カナダ)の水産研究所で、零下3℃でうまくコントロールしながら半凍結の状態に置くと、細胞はまったくいためられず、しかも、食品を変化させる原因となる酵素類を多く含んだ細胞外の液状部分を半凍結することで、生に近い状態での保存期間を大幅に延ばすことに成功した。日本でも、東海区水産研究所において、内山均(ひとし)らがこの研究にあたり、1983年ごろから実用化試験ができるようになり、さらに85年ころからはパーシャルフリージング室を備えた家庭用冷蔵庫も発売されるようになった。なお、パーシャルフリージングは、カナダで命名された一般名で、半冷凍とよばれることもある。イワシなど、いったん冷凍すると魚体がいたみやすいようなものでも、パーシャルフリージングを利用すると、鮮度のよいものだと1週間程度はほとんど変化なしに保存することができる。また、ひき肉などのように冷凍では味が変化しやすく、冷蔵では保存しにくいものなどでも、かなりの期間、保存期間を延長することができ、味には変化がほとんどない。ただし、加工・保存中の温度管理が厳しく、零下5℃まで下がると、氷の大きな結晶ができて食品の価値を大きく低下させるから、この点が冷蔵保存器機の性能にかかっている。
[河野友美・山口米子]
…ゆっくりと静かに移動し,枝から枝へ跳び移るようなことはしない。捕食者の接近に対しては,茂みの中でじっとして動けなくなる,いわゆるフリージングと呼ばれる反応をするという。また,マーキング行動も観察されている。…
※「フリージング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
個々の企業が新事業を始める場合に、なんらかの規制に該当するかどうかを事前に確認できる制度。2014年(平成26)施行の産業競争力強化法に基づき導入された。企業ごとに事業所管省庁へ申請し、関係省庁と調整...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新