日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブッドレア」の意味・わかりやすい解説
ブッドレア
ぶっどれあ
[学] Buddleja
フジウツギ科フジウツギ属の総称。アジア、アメリカ、アフリカの熱帯、亜熱帯に多く、約100種ある。日本にはフジウツギ、コフジウツギ、ウラジロフジウツギが分布する。園芸界では、中国中・西部原産のフサフジウツギ(ニシキフジウツギ)B. davidii Franch.と、その園芸品種をブッドレアとよぶことが多い。本種は落葉低木で、高さ1~3メートル。葉は対生し、卵状披針(ひしん)形または披針形で長さ5~20センチメートル、先は鋭くとがり、縁(へり)に細かい鋸歯(きょし)があり、裏面は灰白色で短毛を密生する。7~9月、枝先に穂状で長さ10~25センチメートルの円錐(えんすい)花序をつくり、芳香のある淡紫色花を多数開く。花冠は細長い筒状で先は4裂し、花喉(かこう)部は橙黄(とうこう)色である。日本には1890年(明治23)ころ渡来した。園芸品種には、花が大きく、花色が紅、紅紫、濃紅紫、白色のものがある。チチブフジウツギは、本種が秩父(ちちぶ)地方に野生化したものである。中国原産のトウフジウツギ、ニオイフジウツギは温室で栽培される。庭木、切り花にする。栽培は容易で、本州から九州の日当りがよく、適湿で排水のよい肥沃(ひよく)地でよく育ち、成長は速く、耐寒性もある。繁殖は挿木、実生(みしょう)による。
[小林義雄]