ドイツの生化学者。ミュンヘン生まれ。ミュンヘン、エルランゲン両大学で学び、ベルリン、ブレスラウ、ウュルツブルク各大学の教授を歴任した。第一次世界大戦に従軍し、戦傷を受け、ルーマニアで死去した。彼は細菌学者である兄ハンスHans Buchner(1850―1902)に刺激され、酵母の細胞をすりつぶして絞り汁をつくり、これに糖を加えたところ、発酵がおこってアルコールが生成されることを確かめた(1897)。パスツール以来、生命なしには発酵はないと考えられていたのが、この実験によって、生きている細胞なしにも発酵がおこることが明らかになり、今日の生化学や分子生物学の基礎が築かれた。この業績により1907年にノーベル化学賞を、それまでの最年少の46歳で受賞した。彼は酵母の無細胞抽出液中にある発酵の要素をチマーゼと命名したが、これは単一な酵素ではなく、多くの酵素の混合物である。
[宇佐美正一郎]
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ドイツの生化学者。ミュンヘン,エルランゲンなどの大学に学び,ベルリン(1898),ブロツワフ(1909),ビュルツブルク(1911)の各大学教授をつとめる。酵母の無細胞抽出液でアルコール発酵を初めて確認した(1897)。これは発酵が生きた細胞の生理現象であるとするパスツールの見解を乗り越える重要な契機となった。酵母から薬理作用のある物質を抽出する目的で,防腐のために糖を大量に加えてあったのが,発見を導いたといわれる。この業績によりノーベル化学賞を得た(1907)。兄ハンスHans Buchner(1850-1902)も著名な医学者であった。
執筆者:長野 敬
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ドイツの生化学者.ミュンヘン工科大学で化学を学び,一時化学を離れたが,兄Hansの勧めでふたたび化学に戻り,J.F.W.A. Baeyer(バイヤー)の助手となり,またK.W. Nägeriに植物学を学んだ.のちキール大学,チュービンゲン大学で分析化学・薬化学の講師となり,1898年ベルリン農業大学教授,1909年ブレスラウ大学,1911年ビュルツブルク大学教授を歴任した.1886年発酵における酵素の影響について論文を発表.兄がバクテリアを分解して医学的に有用な物質を得ようとした仕事を継ぎ,酵母菌をすりつぶした液に防腐剤として濃い砂糖液を加えておいたところ,発酵が起こったことに気づき,“生細胞なしの発酵”を発見した(1897年).この研究により,1907年ノーベル化学賞を受賞.のちに第一次世界大戦にドイツ陸軍の少佐として動員され,ルーマニアで戦死した.
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[酵素研究の歩み]
上述のように,発酵という微生物の細胞の働きを通して,その実体がなんであるかは不明のまま,人類は酵素を有効に利用してきたのであるが,酵素を生命体から抽出単離して利用することが可能であることを実証したのは,パヤンAnselme Payen(1795‐1871)とペルソJean François Persoz(1805‐68)による酵素ジアスターゼの発見・命名(1832)と,麦芽の無細胞抽出液によるデンプンの糖化の達成(1833),さらにT.シュワンによる胃液中の消化酵素の発見(1836)とペプシンの命名がこれに続くいくつかの先駆的業績のきっかけとなった。 酵素はこうして生命現象そのものと決して不可分ではないという認識がしだいに深まってきたが,有名なJ.F.リービヒとL.パスツールの生気論争,またE.ブフナーによる酵母の無細胞抽出液によるアルコール発酵の達成(1896)を頂点として,酵素分子が生体内の代謝を行うタンパク質性の触媒であることへの理解が深まっていったが,決定的な証拠はまだ得られなかった。その間,キューネWilhelm Kühne(1837‐1900)は,〈酵母の中に存在するもの〉の意味するギリシア語をもとにEnzymという名を付与した(1878)。…
…発酵が生命現象であることを示したのは,L.パスツールである。さらに1897年に,E.ブフナーは,酵母の抽出液,すなわち無生物系でも発酵現象が見られることを示した。ついでこれらの現象に関与する酵素の研究が始まり,生命現象を化学の言葉で説明することが可能であると確信されるようになった。…
※「ブフナー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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