ブリティッシュ・コロンビア(読み)ぶりてぃっしゅころんびあ(英語表記)British Columbia

翻訳|British Columbia

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブリティッシュ・コロンビア
ぶりてぃっしゅころんびあ
British Columbia

カナダ、太平洋岸の州。面積92万6492.48平方キロメートル。人口390万7738(2001)。州都ビクトリア。ビクトリアの対岸に州の最大都市バンクーバーがある。イギリス系が約70%と多いが、他の州と比べてアジア系も多い。カナダでもっとも山の多い州で、北西から南東に向けてロッキー山脈セルカーク山脈コースト山脈が並走し、平坦(へいたん)部は北東部のマッケンジー川支流域にみられる。山地の沈水によって複雑な海岸線を形成し、バンクーバー島、クイーン・シャーロット諸島など多くの島群を有している。また、アルバータ州にまたがるバンフ国立公園やグレーシャー国立公園ヨーホー国立公園などの、氷河と山岳の織り成す風景美は世界的に有名である。主要河川は、合衆国へ流れるコロンビア川、多くの支流を集めたのちバンクーバー南部でジョージア海峡に注ぐフレーザー川、北極海へ流れるピース川、リアード川、北西部のスキーナ川である。太平洋岸には短い河川が多数あり、良港が多いのが特徴といえる。大陸西岸気候で、緯度のわりに温暖で、平均気温は1月で5℃、7月で15℃と年較差が小さい。また、偏西風による地形性降水量が多く、海岸部は年300ミリメートルを超す多雨地域だが、内陸部に行くにしたがって減少する。とくに山陰の斜面では250ミリメートル以下の乾燥地域もあり、オカナガン谷など果樹の産地となっている。州第一の産業は林業で、州の大半はダグラスモミ、スギハリモミで覆われ、木材、パルプ、製紙その他の林産工場はカナダの最大規模を誇る。入り組んだ海岸線に沿って好漁場が発達し、オヒョウ、タラ、ヒラメ、カニのほか、漁獲量の多いサケ、ニシンの水揚げが盛んである。金、銀、鉛、亜鉛などの鉱産物も豊富で、石炭はおもに輸出される。1578年イギリスの探検家ドレークがこの地に到着し、1858年イギリス直轄植民地となった。同年、フレーザー川流域での金の発見を機に大量の移住者が押し寄せ、ビクトリアなどはこの時代の金鉱町として発達した。1871年カナダ6番目の州として連邦に加盟し、85年にはカナダ太平洋鉄道がバンクーバーに、1914年にはカナダ国有鉄道がプリンス・ルパートに到達し、カナダの西の玄関となる。アジア研究で知られるブリティッシュコロンビア大学がバンクーバーにあり、日本、中国などの環太平洋諸国との緊密化に伴い、この州の重要性がますます増大している。

[山下脩二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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