ブリティッシュコロンビア(その他表記)British Columbia

翻訳|British Columbia

精選版 日本国語大辞典 の解説

ブリティッシュ‐コロンビア

  1. ( British Columbia ) カナダの南西部、太平洋岸にある州。州都はビクトリアロッキー山脈が走り、林業が盛ん。金、鉛、亜鉛などの鉱産物が豊富。また、良港が多く漁業も盛ん。

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改訂新版 世界大百科事典 の解説

ブリティッシュ・コロンビア[州]
British Columbia

カナダ西端に位置する州。面積92万5186km2はカナダ10州の中で第2位,人口425万4500(2005)は第3位。州都ビクトリア。イギリス系が67%と多いが,太平洋に面しているためアジア系も多く,日本人,中国人,インド人は州総人口の4%に達する。州の西方をコースト山脈が,東方をカナディアン・ロッキー山脈が南北に走り,その間の内陸高原はオーカナーガン渓谷など,肥沃で乾燥した農牧業地帯を含んでいる。沿岸地域は黒潮に洗われてカナダで最も気候のよい地域であり,本土からフェリーで1時間ほどのバンクーバー島にある州都ビクトリアはカナダ有数の保養地として有名。その対岸にカナダ第3の大商業都市バンクーバーがある。バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学はカナダ有数の名門校でアジア研究が知られている。州の主要産業は木製品,製紙,食品製造,石油精製などを主力とする工業であるが,伝統ある鉱業,林業,農業も依然として州の重要産業である。鉱業は銅,石炭,天然ガス,農業は酪農,果実の生産高が大きい。カナディアン・ロッキーの西麓を擁しているのでグレーシャー,クートネー,レベルストーク山,ヨーホーなどの国立公園があり,観光も州の重要産業となりつつある。またサケで有名な漁業も観光客をひきつける要因である。

 ブリティッシュ・コロンビアがカナダ連邦に加入した1871年,州人口の4分の3はインディアンであった。ハイダ族ヌートカ族,セーリシュ族などこの地のインディアンは定住生活をしており,高度な文明を有していた。彼らの卓抜な彫刻技術を示すトーテムポールや美しい銀細工は,州博物館等に保存・展示されている。太平洋を越えてこの地にヨーロッパから到来したのはまずスペイン人,ついでイギリス人であるが,なかでも有名な探検は1778年G.バンクーバーを同道したキャプテン・クックJ.クック)によるものである。クックによる測量は,後にここをイギリス領とする根拠になった。1846年のオレゴン協定成立まで英米共同管理下にあったこの地は,多くの毛皮交易会社のために働く探検家の往来をほしいままにしていた。しかし国境設定後の58年,フレーザー河畔でゴールドラッシュが起こり,イギリスの植民地政府が設立された。時のイギリス国王ビクトリア女王は現在州南東部を流れるコロンビア川にちなんで,植民地を〈ブリティッシュ・コロンビア〉と命名した。これより先,バンクーバー島もイギリス植民地となっており,66年両植民地の合併をみた。カナダ連邦誕生後,ブリティッシュ・コロンビアの連邦加入は〈海から海へ〉またがる国家実現のために必須とされ,大陸横断鉄道の建設を含む寛大な条件を示されて,第6番目の州となった。70年代末から日本人の移住が始まり,第2次大戦前には相当の規模の日本人移民社会が形成されたが,戦争勃発とともに彼らは内陸へ移動させられ,戦後は全日系人の半数はオンタリオ州に住んでいる。州政治は1952年以来91年まで3年間を除き,保守的な社会信用党が握っていたが,91年からは,カナダでは最もラディカルな社会民主主義政党として知られる新民主党が政権の座にあり,この州の多面性を象徴している。どの党が政権を握るにせよ,資源取引を通じて日本とブリティッシュ・コロンビアの交流は今後いっそう深まるであろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブリティッシュ・コロンビア
ぶりてぃっしゅころんびあ
British Columbia

カナダ、太平洋岸の州。面積92万6492.48平方キロメートル。人口390万7738(2001)。州都ビクトリア。ビクトリアの対岸に州の最大都市バンクーバーがある。イギリス系が約70%と多いが、他の州と比べてアジア系も多い。カナダでもっとも山の多い州で、北西から南東に向けてロッキー山脈、セルカーク山脈、コースト山脈が並走し、平坦(へいたん)部は北東部のマッケンジー川支流域にみられる。山地の沈水によって複雑な海岸線を形成し、バンクーバー島、クイーンシャーロット諸島など多くの島群を有している。また、アルバータ州にまたがるバンフ国立公園やグレーシャー国立公園、ヨーホー国立公園などの、氷河と山岳の織り成す風景美は世界的に有名である。主要河川は、合衆国へ流れるコロンビア川、多くの支流を集めたのちバンクーバー南部でジョージア海峡に注ぐフレーザー川、北極海へ流れるピース川、リアード川、北西部のスキーナ川である。太平洋岸には短い河川が多数あり、良港が多いのが特徴といえる。大陸西岸気候で、緯度のわりに温暖で、平均気温は1月で5℃、7月で15℃と年較差が小さい。また、偏西風による地形性降水量が多く、海岸部は年300ミリメートルを超す多雨地域だが、内陸部に行くにしたがって減少する。とくに山陰の斜面では250ミリメートル以下の乾燥地域もあり、オカナガン谷など果樹の産地となっている。州第一の産業は林業で、州の大半はダグラスモミ、スギ、ハリモミで覆われ、木材、パルプ、製紙その他の林産工場はカナダの最大規模を誇る。入り組んだ海岸線に沿って好漁場が発達し、オヒョウ、タラ、ヒラメ、カニのほか、漁獲量の多いサケ、ニシンの水揚げが盛んである。金、銀、鉛、亜鉛などの鉱産物も豊富で、石炭はおもに輸出される。1578年イギリスの探検家ドレークがこの地に到着し、1858年イギリス直轄植民地となった。同年、フレーザー川流域での金の発見を機に大量の移住者が押し寄せ、ビクトリアなどはこの時代の金鉱町として発達した。1871年カナダ6番目の州として連邦に加盟し、85年にはカナダ太平洋鉄道がバンクーバーに、1914年にはカナダ国有鉄道がプリンス・ルパートに到達し、カナダの西の玄関となる。アジア研究で知られるブリティッシュ・コロンビア大学がバンクーバーにあり、日本、中国などの環太平洋諸国との緊密化に伴い、この州の重要性がますます増大している。

[山下脩二]

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百科事典マイペディア の解説

ブリティッシュ・コロンビア[州]【ブリティッシュコロンビア】

カナダ西部,太平洋岸の州。ロッキー山脈,海岸山脈が南北に縦貫。氷食地形が発達し,山地には氷河湖,海岸にはフィヨルドが多い。西岸海洋性の温和な気候で,海岸地方は雨が多く,林業が州の重要な産業。鉱業(石炭,銅,亜鉛,金),漁業(サケ)がこれに次ぐ。果樹栽培も行われる。1858年ゴールドラッシュが起こり英国の植民地政府が設立された。1871年カナダの一州となり,1887年バンクーバーに鉄道開通後急速に発展。英国系住民が多いが,1870年代以降日本人も多く移住した。州都ビクトリア。92万5186km2。440万57人(2011)。
→関連項目アラスカ・ハイウェークイーン・シャーロット[諸島]バンクーバー[島]バンクーバー(都市)ピース[川]プリンス・ルパートフレーザー[川]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 の解説

ブリティッシュ・コロンビア
British Columbia

ロッキー山脈と太平洋岸との間に位置するカナダの一州。州都はヴィクトリアだが,最大の都市はヴァンクーヴァ。1856年からのゴールド・ラッシュを機にイギリス植民地となり,71年にカナダ連邦の一州として参加した。

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世界大百科事典(旧版)内のブリティッシュコロンビアの言及

【カナダ】より

… アジア系民族は全人口の1.3%を占め,そのうち日系カナダ人は0.2%にすぎないが,比率としてはアメリカ合衆国と大差はない。オンタリオ(全日系人の42%が居住),ブリティッシュ・コロンビア(37%),アルバータ(12%)の3州にその大半が住む。カナダに日本人が初めて移住したのは1877年とされるが,彼らの歴史はアメリカ合衆国の日系人のそれと酷似していた。…

※「ブリティッシュコロンビア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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