改訂新版 世界大百科事典 「ブリュックナー周期」の意味・わかりやすい解説
ブリュックナー周期 (ブリュックナーしゅうき)
Brückner cycle
E.ブリュックナーが,1890年《1700年以後の気候変化》の中で提唱した気候変化の周期で,寒冷多雨の時期と温暖少雨の時期が約35年(34.8±0.7年)ごとに繰り返されるというもの。この気候変化の周期はすでに1625年,F.ベーコンによって,オランダにおいて一般的に信じられていたものとして記録されているが,ブリュックナーは,カスピ海の水位変動などを解析して,この周期を再発見した。約35年の周期は,ロシアの河川の凍結融解,アルプスの氷河の消長,樹木の年輪,農作物の収穫時期と量などにも認められる。この周期はほぼ全世界的にみられるが,35年という周期は平均的なものでばらつきが大きい。しかし,長期的な気候変動を予測する際には,太陽黒点に関係する11年周期に次ぐ重要な周期である。この周期の原因についてはまだ明らかになっていない。
執筆者:林 陽生+吉野 正敏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報