ブリュックナー周期 (ブリュックナーしゅうき)
Brückner cycle
E.ブリュックナーが,1890年《1700年以後の気候変化》の中で提唱した気候変化の周期で,寒冷多雨の時期と温暖少雨の時期が約35年(34.8±0.7年)ごとに繰り返されるというもの。この気候変化の周期はすでに1625年,F.ベーコンによって,オランダにおいて一般的に信じられていたものとして記録されているが,ブリュックナーは,カスピ海の水位変動などを解析して,この周期を再発見した。約35年の周期は,ロシアの河川の凍結融解,アルプスの氷河の消長,樹木の年輪,農作物の収穫時期と量などにも認められる。この周期はほぼ全世界的にみられるが,35年という周期は平均的なものでばらつきが大きい。しかし,長期的な気候変動を予測する際には,太陽黒点に関係する11年周期に次ぐ重要な周期である。この周期の原因についてはまだ明らかになっていない。
執筆者:林 陽生+吉野 正敏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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ブリュックナー周期
ぶりゅっくなーしゅうき
Brückner cycle
ドイツの気候学者ブリュックナーがみいだした約35年の気候変動の周期。彼はカスピ海の水位が34~36年の周期で上下していることを発見し、この周期が湖沼の水位だけでなく、降水量や気温・気圧の変動、氷河の前進・後退、さらに農作物の収穫量や価格の変動にも認められることを明らかにした。その後、世界各地で20年から50年程度の気候変動の周期が報告されるようになり、ブリュックナー周期との関連が議論されている。しかし、35年周期を引き起こすメカニズムについては、太陽活動との関連を指摘する研究もあるが、まだ解明されていない。
[三上岳彦 2015年4月17日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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ブリュックナー周期
ブリュックナーしゅうき
Brückner cycle
ドイツの気候学者 E.ブリュックナーによって提唱された (1890) 気候の永年変化に認められる約 35年の周期をいう。最初カスピ海の水位が 34~36年の平均周期で上下する事実から出発し,黒海,バルト海,ボルガ川の水位,ロシアの河川の標準凍結日数,アルプス氷河の前進後退など多数の資料を統計的に調べることによって 35年に近い周期の存在を発見した。その後の調査で降水量,気圧,気温にも同じような周期の変動がみられることがわかった。ブリュックナー周期の位相は世界的に一様ではなく地域的なずれがあり,たとえば大陸内部と海岸地方では逆位相になる。 35年周期は太陽黒点の周期の約3倍にあたるのでブリュックナー周期は太陽黒点数とも関係していると考えられている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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「ブリュックナー周期」の意味・わかりやすい解説
ブリュックナー周期【ブリュックナーしゅうき】
気候変化にみられるおよそ35年程度の周期。1890年スイスのE.ブリュックナー〔1862-1927〕がカスピ海の水位の変化などの解析から見いだし,その後,世界各地の降水量,気温などの変化にも同様の周期の存在が認められた。
→関連項目周期
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「ブリュックナー周期」の解説
ブリュックナー周期【Brückner cycle】
気候変化周期の一つで,ドイツのブリュックナーがカスピ海の水位の変化から34~36年の変動周期の存在を示した.やがて湖沼水位のみならず,降水量の変動や氷河の前進・後退,さらに農作物の収穫量や価格の変動にも同じような周期が確認されている.もっとも太陽黒点の周期(11年)ほどには明瞭ではない.世界各地の気候においても見いだされているが,はっきりした原因はわかっていない.
出典 朝倉書店法則の辞典について 情報
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