プイグ(読み)ぷいぐ(その他表記)Manuel Puig

デジタル大辞泉 「プイグ」の意味・読み・例文・類語

プイグ(Manuel Puig)

[1932~1990]アルゼンチン小説家登場人物会話日記手紙などのコラージュを用い、社会的弱者や抑圧された人々を描く。作「蜘蛛女のキスほか

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プイグ」の意味・わかりやすい解説

プイグ
ぷいぐ
Manuel Puig
(1932―1990)

アルゼンチンの小説家。初め映画監督、シナリオ作家を志したが挫折(ざせつ)し、小説に転向処女作リタヘイワース背信』(1968)によって世に認められた。『赤い唇』(1969)の次に書いた第三作『ブエノスアイレス事件』(1973)が発禁処分となり、国外亡命を余儀なくされ、以後メキシコニューヨークリオ・デ・ジャネイロと移りながら、『蜘蛛女(くもおんな)のキス』(1976)、『天使の恥部』(1979)、『この書を読む者に呪(のろ)いあれ』(1980)、『報われた血の愛』(1982)などの話題作を発表し、話しことばを軸にした多様な言語表現による小説が注目されている。戯曲に『星のマントの下で』(1983)がある。

[内田吉彦]

『内田吉彦訳『ラテンアメリカ文学叢書15 リタ・ヘイワースの背信』(1980・国書刊行会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プイグ」の意味・わかりやすい解説

プイグ
Puig, Manuel

[生]1932. ヘネラルビジェガス
[没]1990.7.22. メキシコ,クエルナバカ
アルゼンチンの小説家。ローマの実験映画センターで学んだのち,『リタ・ヘイワースの背信』 La traición de Rita Hayworth (1968) ,『赤い唇』 Boquitas pintadas (69) ,『ブエノスアイレス事件』 The Buenos Aires Affair (73) ,『蜘蛛女のキス』 El beso de la mujer araña (76) などの小説を発表。シナリオ,大衆小説推理小説パロディーによって,第2次世界大戦後のアルゼンチン社会を描いた。

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百科事典マイペディア 「プイグ」の意味・わかりやすい解説

プイグ

アルゼンチンの作家。ブエノス・アイレス州の小都市で生まれる。1956年映画監督を志しイタリアへ渡るが挫折し,小説家となる。処女作《リタ・ヘイワースの背信》(1968年)から注目され,その後《赤い唇》(1969年)もベストセラーとなる。ほとんどの作品に共通するのは,会話,手紙などでテクストを構成し,映画やタンゴなどのポップ・カルチャーを巧みに用いる手法である。《蜘蛛女のキス》(1976年),《南国に日は落ちて》(1988年)などのほか,戯曲も発表している。

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