金融恐慌やバブル経済崩壊などを防ぎ、金融システムを安定化させるための政策の総称。金融機関への公的資金(税金)投入、中央銀行による最後の貸し手機能(ラストリゾート、lender of last resort)、預金保険制度、自己資本比率を規制するバーゼル合意、個別金融機関への監督・検査実施などが該当する。各国の政府と中央銀行が連携して実施するという特徴がある。プルーデンスprudenceには「慎重さ」「用心深さ」という意味があり、世界経済に深刻な影響をもたらす経済・金融危機を防止するという意味で使われる。「信用秩序維持策」ともよばれる。
プルーデンス政策はミクロ・プルーデンス政策とマクロ・プルーデンス政策に分けられる。ミクロ・プルーデンス政策は個々の金融機関の経営を監督・検査して破綻(はたん)を未然に防ぐ措置であり、日本では金融庁の検査や日本銀行の考査が該当する。マクロ・プルーデンス政策は金融機関がドミノ倒しのように次々と破綻するリスクを防ぐ措置で、バーゼル合意、預金保険制度などが該当する。プルーデンス政策はまた事前的措置と事後的措置にも分けられる。事前的措置としては、金融機関の経営健全性を確保するための自己資本比率規制、金融機関の検査、大口融資規制、不動産投資規制などである。事後的措置は金融機関の破綻時に預金者や取引先に安心感を与え取付け騒ぎを防止する措置で、預金保険制度などのセーフティネット政策や、金融機関への救済措置(特別融資)などがある。ただし、行き過ぎた事後的措置は、金融機関や金融機関経営者のモラルハザードを招く恐れがある。2008年のリーマン・ショックを機に、国際的にマクロ・プルーデンス政策重視が大きな潮流となっており、欧米主要国はその研究や強化に取り組んでいる。アメリカは金融安定監督協議会(FSOC:Financial Stability Oversight Council)、イギリスは金融監督委員会(FPC:Financial Policy Committee)、ヨーロッパ連合(EU)はシステミック・リスク理事会(ESRB:European Systemic Risk Board)をそれぞれ設け、政府と中央銀行が協力して金融システムに潜むリスクを監視し、リスクが顕在化したらすぐさま対応する態勢を整えている。これに対し日本では、日本銀行による取組みに限定されており、欧米に比べマクロ・プルーデンス政策の整備が遅れているとの指摘がある。
[編集部 2015年1月20日]
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