改訂新版 世界大百科事典 「ベトパクダラ」の意味・わかりやすい解説
ベトパク・ダラ
Betpak-dala
中央アジア,カザフスタン共和国中央南部の草原。カザフ語で〈恥知らずの平原〉の意。ロシア語では〈ゴロドナヤ・ステップGolodnaya step’(飢餓のステップ)〉と呼ぶ。ウズベキスタン共和国にも同じ名称の地域があり,これと区別するときには〈北のゴロドナヤ・ステップSevernaya Golodnaya step’〉と呼ぶ。東はバルハシ湖とカザフ台地,西はサリスーの末無川で境される。面積約7万5000km2。最高点はバルハシ湖西端近くのジャンブール峰(974m)であるが,一般には低平で,標高は東で500m,西にゆるやかに下り300mとなる。地表は塩の吹き出た砂,礫(れき),粘土などからなる半砂漠で,裸地の間にわずかにヨモギ,チューリップの野生種,カヤなどが粗く地を覆う。河水のある谷間や涸谷にはタマリスク(ギョリュウ)が茂みをつくる。石炭,セッコウ,岩塩,鉄鉱石などの埋蔵が知られるが,おおむね未開発である。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報