ステップ気候(読み)すてっぷきこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステップ気候」の意味・わかりやすい解説

ステップ気候
すてっぷきこう

砂漠気候(BW気候)に次いで乾燥した気候(ケッペンのBS気候)で、草原気候半乾燥気候ともいう。半乾燥気候地帯はプレーリー(長草)とステップ(短草)に区分され、前者の地域ではやや降水量が多く安定しているのに対し、後者では降水量は少ない。ステップ気候は乾燥限界の半分以上の降水のある地域と定義され、砂漠気候の周辺で湿潤気候地帯との漸移帯に分布する。年降水量はほぼ250~500ミリメートルで、経年変動が大きい。ケッペンによれば、寒帯草原ツンドラといい、温帯ないし熱帯の草原をステップという。この気候地域ではおもに牧畜が行われ、灌漑(かんがい)可能な地域では農耕も行われる。

[深石一夫]

『福井英一郎他編『日本・世界の気候図』(1985・東京堂出版)』『吉野正敏他編『気候学・気象学辞典』(1985・二宮書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ステップ気候」の意味・わかりやすい解説

ステップ気候
ステップきこう
steppe climate

砂漠気候とともに乾燥気候に属する気候型で,砂漠気候よりも雨が多いために草原となる気候。草原気候ともいう。ステップとは本来中央アジアの広大な草原を意味する。ウラジーミル・P.ケッペンによれば,乾燥限界と砂漠限界との間の気候をさし,その地域は砂漠気候地域を取り巻くように分布する。アジアからアフリカに続く広大なステップ気候地域では,草原の草を飼料として遊牧生活が営まれ,アメリカ大陸の西部オーストラリアの草原でも大規模な企業的牧畜が行なわれている。乾燥限界に近い地域では多少とも雨量が多く,土壌肥沃で灌漑によって農業も行なわれている。北アメリカのプレーリー西部,アルゼンチンパンパス西部,ロシアの黒土地帯などがこれにあたる。

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