ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベネディクツス16世」の意味・わかりやすい解説
ベネディクツス16世
ベネディクツスじゅうろくせい
Benedictus XVI
[没]2022.12.31. バチカン市国
教皇(在位 2005~13)。本名 Joseph Alois Ratzinger。ドイツのバイエルン州出身。父は警察官,兄と姉の三兄弟。第2次世界大戦中,14歳でヒトラー・ユーゲントに入り,対空防衛補助活動に動員された。戦後,兄弟で神学校に入り,1951年司祭に叙階された。ミュンヘン大学,フライジング大学で哲学と神学を学び,1953年神学博士号を,1957年に大学教授資格を取得してフライジング大学に迎えられた。1959年以降ボン大学,ミュンスター大学,テュービンゲン大学,レーゲンスブルク大学で教壇に立ち,神学者として名声を博した。第2回バチカン公会議(1962~65)では進歩的で改革的な神学顧問として活躍したが,のちに保守派に転じた。1977年ミュンヘン,フライジングの大司教に任命され,枢機卿(カーディナル)に。1981~2005年教皇庁教理省長官,1998年枢機卿団の首席枢機卿代理,2002年首席枢機卿。教皇の側近として教皇庁内で大きな影響力をもった。ヨハネス・パウルス2世の死去に伴うコンクラーベで,2005年4月19日第265代教皇に選出された。ドイツ人教皇は 948年ぶり。ヨハネス・パウルス2世と同様,カトリックの伝統的な思想を擁護する立場をとるが,他宗派,異宗教との対話には柔軟な姿勢を示した。2013年2月健康上の理由で退位を表明,後任には 3月フランシスコが選出された。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報