日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンケイガニ」の意味・わかりやすい解説
ベンケイガニ
べんけいがに / 弁慶蟹
[学] Sesarmops intermedia
節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目イワガニ科に属するカニ。河口域から陸上へと生息域を広げているカニ類の代表種。アカテガニと混同されることが多いが、本種は一様に橙赤(とうせき)色で、甲の側縁の前方部に深い切れ込みが一つある。甲幅3.5センチメートルに達し、輪郭はわずかに幅広い四角形。額(がく)の中央部はくぼみ、左右の目を結ぶ線上に四つの稜(りょう)がある。胃域と心域を分ける溝ははっきりしている。東京湾から九州、朝鮮半島、中国沿岸を経て東南アジアからインドまで分布する。海岸に近い湿地にすみ、ほとんど海水につかることはないが、幼生の放出の際には海水に浸り、幼生は約1か月間海でプランクトン生活をして育つ。
[武田正倫]