ペペロミア(読み)ぺぺろみあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペペロミア」の意味・わかりやすい解説

ペペロミア
ぺぺろみあ
[学] Peperomia

コショウ科(APG分類:コショウ科)ペペロミア属の総称。多肉質の草本で、多くは常緑多年草であるが、一年草もある。アメリカ大陸を中心に、熱帯から亜熱帯に1000種以上分布し、その多くは着生種である。以下の各種がよく栽培される。オブツシフォリアP. obtusifolia A.Dietr.はベネズエラ、西インド諸島原産。葉は卵円形で多肉質。葉に黄色または黄白色の散斑(ちりふ)が入るグリーンゴールドcv. Green goldとともに、観葉植物として栽培される。カペラータP. caperata Yunckerはチヂミバシマアオイソウともいう小形種で、葉は卵円形で、縮緬(ちりめん)状になり、暗緑色。ワリエガータcv. Variegataは、葉は白色または淡紅色の縁どりとなる。ホワイトエメラルドcv. White emeraldは白、灰白、淡紅色が不規則に入る斑(ふ)入り種で、変異が多く、レッドリップル、ニグラ、ナナなどの品種がある。シマアオイソウP. argyreia (Miq.) E.Morr.は葉の縞(しま)模様からウォーターメロン・ペペロミアwatermelon peperomia(スイカペペロミアの意)ともいい、ブラジル南部原産。明治の中ごろに導入された。セルペンスP. serpens (Sw.) Loud.と、その斑入り種cv. Variegataは茎は匍匐(ほふく)性でよく伸び、吊(つ)り鉢に向く。四国、九州の南部にはサダソウP. japonica Makinoが分布するが、観賞価値はない。

 本属の植物は葉挿し繁殖が可能であるが、斑入り種は、茎挿しか株分けでないと斑が消失することがある。テラリウムや寄せ植えなど、室内園芸にも向き、ミニ観葉植物として優れている。

[高林成年 2018年7月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペペロミア」の意味・わかりやすい解説

ペペロミア
Peperomia

コショウ科のサダソウ属の総称で,一年草または多年草。アジア,南アメリカの熱帯,亜熱帯に約 500種ほどある。葉は対生,互生または輪生し,全縁で多肉である。花は細長い尾状の花序に花被のない両性花を密生し,黄緑色で目立たないが,多数の花穂を林立させるものが多く,多肉の葉とともに観賞用とされる。果実は小さな液果。日本では四国,九州,沖縄など西南日本にサダソウ P. japonicaがあり,海に近い林の岩上に生える。全体に細毛があり,茎は丸く,葉は輪生し,花穂は直立して小花をつける。小笠原にはシマゴショウ P. boninsimensisがあってやはり樹上や岩上に着生し,高さ 20cmほどで厚い卵形の葉を対生する。

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