ペペロミア(英語表記)Peperomia

デジタル大辞泉 「ペペロミア」の意味・読み・例文・類語

ペペロミア(〈ラテン〉Peperomia)

コショウ科ペペロミア属の多年草総称。葉は心臓形で、白い縞模様のものなどがある。花は円筒形花穂につく。熱帯アメリカなどに産し、観葉植物とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「ペペロミア」の意味・読み・例文・類語

ペペロミア

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] Peperomia ) コショウ科サダソウ属植物の総称。常緑の小草本。温帯から熱帯に約五〇〇種が分布種類による形の変異が多く、観葉植物とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペペロミア」の意味・わかりやすい解説

ペペロミア
Peperomia

コショウ科サダソウPeperomiaの常緑多年草または一年草で,熱帯~亜熱帯地域を中心に約1000種が分布するが,観葉植物として栽培されるのは,熱帯アメリカ原産の多年草である。花は細長い棒状の穂状花序で,多数の花をつけるが,花被はなく,観賞価値は低い。花後は粘着性のある小さい液果をつけ,中に1種子を含む。ペペロミア・オブツシフォリアP.obtusifolia (L.) Dietr.は茎が立性でジグザグ状に伸び,鈍光沢のある濃緑色,多肉質葉を互生する。鈍頭卵円形葉で,長さ5~9cm,幅4~6cmとなる。園芸品種グリーン・ゴールドcv.Green Goldは,全体に黄~淡黄緑色の不規則斑が入り,観賞価値は高い。両種とも強健で,生長も早く,ヘゴ付け小~中鉢物として栽培される。ペペロミア・カペラタP.caperata Yunck.はブラジル原産の小型種で,草丈10~15cmで,ちりめん状の卵円形葉をつける。暗緑色のリトル・ファンタジーcv.Little Fantasyが普及しているが,変異が多く,より小型種のナナcv.Nana,暗緑褐色のニグラcv.Nigraなどがある。白覆輪種のワリエガータcv.Variegataはときに淡紅色もおびて美しいが,葉挿しでは緑葉に戻ってしまうのと,性質が弱く,生長が遅いのであまり普及していない。ペペロミア・セルペンス・ウァリエガータP.serpens Loud.cv.Variegataはジグザグ状の茎を長く伸ばす匍匐(ほふく)性種で,黄白~黄色の覆輪となる長い心臓形の多肉質葉を互生する。強健で,葉面も形よく並ぶのでつり鉢に向く。ペペロミア・グリセオアルゲンテアP.griseoargentea Yunck.は茎が短く,草丈15~25cmの半球状に育つ。葉は卵円形で,灰緑色で金属光沢がある。じょうぶで形よく育つ。ペペロミア・アルギレイアP.argyreia E.Morr.は多肉質の卵円形葉が楯状につき,濃緑色に灰白色斑が縦に入り美しい。watermelon peperomiaの英名がある。ペペロミアの仲間は,日照不足にも強く,繁殖も簡単で,室内園芸に向いている。鉢物のほか,テラリウムやテーブル装飾などの寄植えにも向く。10℃以上に保温する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペペロミア」の意味・わかりやすい解説

ペペロミア
ぺぺろみあ
[学] Peperomia

コショウ科(APG分類:コショウ科)ペペロミア属の総称。多肉質の草本で、多くは常緑多年草であるが、一年草もある。アメリカ大陸を中心に、熱帯から亜熱帯に1000種以上分布し、その多くは着生種である。以下の各種がよく栽培される。オブツシフォリアP. obtusifolia A.Dietr.はベネズエラ、西インド諸島原産。葉は卵円形で多肉質。葉に黄色または黄白色の散斑(ちりふ)が入るグリーンゴールドcv. Green goldとともに、観葉植物として栽培される。カペラータP. caperata Yunckerはチヂミバシマアオイソウともいう小形種で、葉は卵円形で、縮緬(ちりめん)状になり、暗緑色。ワリエガータcv. Variegataは、葉は白色または淡紅色の縁どりとなる。ホワイトエメラルドcv. White emeraldは白、灰白、淡紅色が不規則に入る斑(ふ)入り種で、変異が多く、レッドリップル、ニグラ、ナナなどの品種がある。シマアオイソウP. argyreia (Miq.) E.Morr.は葉の縞(しま)模様からウォーターメロン・ペペロミアwatermelon peperomia(スイカペペロミアの意)ともいい、ブラジル南部原産。明治の中ごろに導入された。セルペンスP. serpens (Sw.) Loud.と、その斑入り種cv. Variegataは茎は匍匐(ほふく)性でよく伸び、吊(つ)り鉢に向く。四国、九州の南部にはサダソウP. japonica Makinoが分布するが、観賞価値はない。

 本属の植物は葉挿し繁殖が可能であるが、斑入り種は、茎挿しか株分けでないと斑が消失することがある。テラリウムや寄せ植えなど、室内園芸にも向き、ミニ観葉植物として優れている。

[高林成年 2018年7月20日]

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百科事典マイペディア 「ペペロミア」の意味・わかりやすい解説

ペペロミア

アジア,南米などの温〜熱帯に産するコショウ科の一属。約1000種に及ぶが,そのうち葉の美しいもの十数種が温室栽培されている。観葉植物としてよくみられるシマアオイソウはブラジル原産の多年草で,茎はなく,基部から多数の葉が群がり立つ。紫紅色で長さ約10cmの葉柄に先のとがった広卵形の葉が楯(たて)状につく。葉は厚く,表面は金属光沢のある濃緑地に6〜9本の脈があり,脈間が銀白色の斑となる。チヂミバシマアオイソウは原産地不詳。葉柄は茶褐色で,ちりめん状に深いしわが寄る濃緑色の葉をつける。これには,乳白色の斑が入る美しい園芸品種がある。フチベニバペペロミアは熱帯アメリカ原産種で,へら形の葉の縁が紅色になるが,さらに乳白色の斑が入る園芸品種がよく栽培されている。キフペペロミアは,やはり熱帯アメリカ原産種の園芸品種。葉は広卵形で光沢があり,縁に乳白色の広い刷毛込み斑が入るものである。さし芽,株分けでふやす。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペペロミア」の意味・わかりやすい解説

ペペロミア
Peperomia

コショウ科のサダソウ属の総称で,一年草または多年草。アジア,南アメリカの熱帯,亜熱帯に約 500種ほどある。葉は対生,互生または輪生し,全縁で多肉である。花は細長い尾状の花序に花被のない両性花を密生し,黄緑色で目立たないが,多数の花穂を林立させるものが多く,多肉の葉とともに観賞用とされる。果実は小さな液果。日本では四国,九州,沖縄など西南日本にサダソウ P. japonicaがあり,海に近い林の岩上に生える。全体に細毛があり,茎は丸く,葉は輪生し,花穂は直立して小花をつける。小笠原にはシマゴショウ P. boninsimensisがあってやはり樹上や岩上に着生し,高さ 20cmほどで厚い卵形の葉を対生する。

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