ヒトの系統がチンパンジーの系統と分かれ,ヒト的な特徴を獲得してきた過程。ヒト化ともいう。[小島6]字義では,ホモ(homo)化(-nize)することである。homoがホモ・サピエンスHomo sapiens,ホモ属(ヒト属),あるいは広く人類を指すのかは明確でなく,一般には,広くも狭くも用いられている。類人猿と比較した時,ヒトにおいて注目すべき特徴をあげるなら,日常的な直立二足性,大脳化,言語によるコミュニケーション,高い認知・学習能力,広汎な道具使用,利き手,火の使用,未熟な新生児(=二次的晩成性),永久歯萌出時期よりも早い離乳(=幼児期),性成熟までの期間の長期化,社会的学習への依存,閉経後の長い寿命,雄(男性)の犬歯の退化,排卵隠蔽,非血縁者も対象とした著しい社会的親和性など,多くの側面にわたる。こうした特徴の中で最初に現れたのは,直立二足性であり,それが少なくとも600万年前にさかのぼることは間違いない。犬歯の退化は,初期の猿人段階で認められているが,それが社会構造とどのような関連をもつかについては議論がある。もし,それが雄同士の間の攻撃性の低下を示すなら,特定の雄と特定の雌との長期にわたる結びつき,雄による特定の雌への食糧供給,排卵隠蔽もその時代までさかのぼるかもしれない。石器の製作は,従来,ホモ属からと考えられていたが,最古の石器は260万年前にまでさかのぼり,ホモ属を生み出したと考えられるアウストラロピテクス・ガルヒAustralopithecus garhiが行っていた可能性が高い。その他の特徴の多くはホモ属の誕生以降,とくに広義のホモ・エレクトスHomo erectus(ホモ・エルガスターHomo ergasterを含んで)の時代において獲得された。誕生と成長の様式(生活史)に関わる特徴は,大脳化とそれに伴う分娩上の制約に関連して進化したと考えられている。しかし,完全に現代的な生活史がどこまでさかのぼるかについては,結論が出ていない。言語によるコミュニケーションの起源については,ホモ・エレクトスとする意見から,後期旧石器時代人とする意見まで議論がある。
執筆者:中務 真人
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…また脳重量の減少,短頭化,骨組織の脆弱(ぜいじやく)化,筋の退化あるいは体毛の減少などがしばしば見られる。このような形態的変化およびそれにともなう生態的・行動的変化のいくつかが,人類進化の過程にも見られるところから,ヒト化hominizationをヒトの自己家畜化self‐domesticationであるとみなす立場もある。集団レベルの変化としては,毛色多型coat‐color polymorphismが各家畜種を通じ広く認められ,あるいは奇形的機能や形態が家畜品種の特徴となることもある。…
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[生業形態]
約1万年以前には人類のすべては狩猟採集を生業としていたといわれている。このようにホミニゼーション(ヒト化)を達成させたのは,狩猟採集という自然に依存し直接自然に働きかける生業形態であったことは注目に値するが,その間においても絶えず石器等の生活用具は洗練の度を加えていったことを忘れてはならない。しかし,狩猟採集時代の社会は,今日の狩猟採集民のバード社会と大きく異なるものではなかったにちがいない。…
※「ホミニゼーション」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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