日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホリゾント」の意味・わかりやすい解説
ホリゾント
ほりぞんと
Horizont ドイツ語
主として天空の効果を表現するための舞台設備で、舞台の最奥部に設置された灰色(グレー)の布地または壁面。正しくは「ホリツォント」。このホリゾントと照明設備(ホリゾントライトやエフェクトマシーンなど)を組み合わせて、朝から夜への推移や季節の移ろいから火事や宇宙の銀河まで、多様な照明効果を表現する。イタリア人フォチュニーMariano Fortuny(1871―1949)の考案で、1920年代にドイツの各劇場に設けられた。日本では1924年(大正13)に築地(つきじ)小劇場にクッペルホリゾントが初めて設置された。
(1)クッペルホリゾント Kuppelhorizont 舞台上部が前方にドーム状に湾曲したコンクリートや漆喰(しっくい)などで固定されている。(2)ルンドホリゾント Rundhorizont 垂直半円筒状の布地で巻き取りによるタイプ。英米ではサイクロラマcycloramaという。(3)ホリゾントフラット Horizontflat 日本で一般的に使用されているタイプで、舞台奥に平行または左右両端が多少湾曲した布地で設置する。金属パイプで舞台上部につり上げて移動可能に設備されている。
[牛丸光生]