翻訳|mazurka
舞曲。本来はマズレクmazurek(ポーランド語)という名で,ポロネーズと並ぶポーランドの代表的民俗舞曲の一つ。ショパン以後,〈マズルカ〉という曲名が広く知られるようになったが,フランスやドイツで19世紀前半から20世紀にかけて流行したマズルカを〈ポルカ・マズルカ〉といい,ポーランドの伝統的な民俗舞曲マズレクとは区別し,音楽的にも異なったものである。古いマズレクは,14世紀に流行した記録も残っている。テンポの遅いクヤビアクkujawiak,中庸の速さのマズレク,テンポの速いオベレクoberekをまとめてマズレクと呼ぶことが多い。いずれも3/4または3/8拍子であるが,3拍子本来の1拍目の強拍が,2拍目または3拍目に移動する。マズレクの踊り方は変化に富み,数十種類がある。ショパンは,マズレクのリズムやテンポの変化にひかれ,3種の舞曲のリズム的要素を巧妙に組み合わせて,マズルカという新しいピアノ音楽の領域をつくりあげた。
執筆者:佐藤 允彦
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ポーランドの民族舞踊。名称は、マゾフシェ地方の人々(マズル)が踊っていたことに由来する。多くの種類があり、それぞれ速度、ステップ、雰囲気が異なるが、一般にはオベルタスobertas(非常に速く旋回する)、マズル(中庸の速さ)、クヤビアクkujaviak(ゆっくりとした動き)などが知られている。いずれも三拍子で、二拍目か三拍目にアクセントが置かれる。伴奏楽器はフィドル(バイオリン)とドゥダ(一種のバッグパイプ)。また、歌われることもあった。
マズルカは農民から上流階級へと伝わり、17世紀ごろから器楽曲としてポーランド周辺の国々に伝わっていくが、19世紀に入って、とくにショパンを通じてヨーロッパに広まる。ショパンには、この舞曲特有の旋律やリズム、さらには長調と短調の間を揺れ動く和声などを、独自の様式と結び付けた詩情豊かな約50曲のピアノ作品がある。その他の作曲家としては、ポーランドのシマノフスキ、ポーランド以外ではリスト、フォーレ、スクリャービンなどがいずれもピアノ曲をつくっている。
[関根敏子]
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…器楽ではハチェフスキA.HaczewskiやボフダノビチBazyli Bohdanowicz(1740‐1817)の交響曲,ヤニェビチFelix Janiewicz(1762‐1848)の二つのバイオリンとチェロの〈三重奏曲〉,オギンスキMichał Kleofas Ogińskiによる当時の悲劇的社会を反映した感傷的なポロネーズ《祖国よさらば》などのピアノ曲がある。独立運動の中で多くの愛国歌が作られたが,とくに国外で独立のために闘ったポーランド師団の歌《ドンブロフスキのマズルカ》は1797年以来広く歌われ,1927年から国歌となった。また愛国歌のほかに市民の間ではオペラのアリアや歌謡曲が歌われ,歌謡曲の《ラウラとフィロン》はショパンの《ポーランド民謡による幻想曲》作品13にもとり入れられた。…
※「マズルカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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