短時間で材料を炒(いた)め焼きにする方法。フランス語であるが、各国の料理用語となっている。ソテーは別名バター焼き、バター炒め、オイル焼き(オ・ブールau beurre)などの料理名でよばれる。肉のソテーはとくにステーキというが、ステーキは焼き加減を好みによって調節できるが、ソテーは完全に火を通す調理で、この点がステーキとソテーの違いである。
ソテーは炒めるときにバター、油、あるいは他の脂肪を使うが、他の液体はまったく使わない。つまりソテーの原理は肉や野菜をソースの中で煮込ませないことにある。炒めたときに出る汁が鍋(なべ)の底ににじみ出てカラメル化し、きわめて重要な役目を果たす。焼き方は、最初強火で肉を引き締まらせ、肉汁が外に出ないようにする。次に熱をいくらか下げる。蒸気がこもるのはソテーには禁物だから、けっして蓋(ふた)をしてはいけない。魚のソテー(フランス語ではムニエルmeunière)の場合は、かならず小麦粉をまぶしつけて炒め焼く。野菜類は緑色の野菜や、キノコ類、タマネギ、キャベツなどが適する。油脂はバター、マーガリンなど、ソテーする材料の10%くらいを用いる。バターは焦げやすいので、バターを溶かして材料にかけるような場合は、炒めるといわないで、オ・ブールといわれる。ソテー用の鍋は加熱面の広く、あまり深くない形のものがよく、ソートゥーズsauteuse(フランス語で炒め鍋の意)がよい。これは底が広く、厚く、片手鍋であるから、鍋の中に油脂を入れて熱するとき、柄をもって横に振り動かしたり、上下に動かしながら炒められるので、手早くソテーの目的にかなった料理ができる。
[小林文子]
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