ボズウェル(読み)ぼずうぇる(その他表記)James Boswell

精選版 日本国語大辞典 「ボズウェル」の意味・読み・例文・類語

ボズウェル

  1. ( James Boswell ジェームズ━ ) イギリスの伝記作家。その作「サミュエル=ジョンソン伝」は伝記文学の傑作とされ、ボズウェルという名は、忠実な伝記者を意味する普通名詞にもなっている。(一七四〇‐九五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボズウェル」の意味・わかりやすい解説

ボズウェル
ぼずうぇる
James Boswell
(1740―1795)

イギリスの弁護士スコットランドに生まれる。伝記文学の最高傑作『サミュエル・ジョンソン伝』(1791)の作者。エジンバラグラスゴーの大学で法律を学び、グラスゴー大学ではアダムスミスの講義に出席。その後、ロンドンに出て文士仲間とともに数冊の詩文集を匿名で出版。1763年、S・ジョンソンと会い、その偉大な人格に心酔し、親交を結ぶ。その間、非凡な記憶力と鋭い観察力でジョンソンの言行を克明に記録し、手紙を集め、豊富な資料を駆使して、芸術的にみごとな統一のある『ジョンソン伝』を書いた。大陸旅行のおりには、コルシカ島独立を企てたパオリ将軍と会見し、『コルシカ事情』(1768)を書いて著述家としての名声を確立。また、ジョンソンに従ってスコットランドを旅行した記録『ヘブリディーズ諸島旅日記』(1785)も知られる。20世紀になって、赤裸々な生活の記録を含む日記など膨大な量の「私記」が発見され、次々と刊行されている。

[平 善介]

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改訂新版 世界大百科事典 「ボズウェル」の意味・わかりやすい解説

ボズウェル
James Boswell
生没年:1740-95

イギリスの文人,伝記作家,弁護士。エジンバラ生れ。エジンバラ,グラスゴー両大学で学び,弁護士となる。1762年より翌年にかけてロンドンに滞在,63年S.ジョンソンと会って以来,彼を崇拝する。その間遊びの遍歴も重ねる。63-66年大陸旅行をし,ボルテールルソーとも会見した。66年故郷へ帰って弁護士として活躍を開始する。彼は一日女性と野外で〈大胆に〉情事を楽しんだかと思うと,翌日は法廷で数時間に及ぶ弁論を展開するという〈二面性〉をもっていた。ロンドンとエジンバラとの間を往来し,ジョンソン博士の〈文学クラブ〉に入り,彼との交友を深め,その間彼とともにスコットランド旅行を行う。その成果が《ヘブリディーズ島旅行日記》(1785)や伝記文学の傑作《サミュエル・ジョンソン伝》(1791)に結実する。ジョンソンの死後,国会に出ようと試みるが果たさず,憂うつ症に悩まされつつ没した。近年その膨大な日記が注目されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボズウェル」の意味・わかりやすい解説

ボズウェル
Boswell, James

[生]1740.10.29. エディンバラ
[没]1795.5.19. ロンドン
イギリスの弁護士,著述家。スコットランドの出身。イギリス伝記文学の最高傑作『ジョンソン伝』 The Life of Samuel Johnson (1791) の著者。 1763年ジョンソンと知合い,またこの年には大陸旅行をしてルソーやボルテールに会った。 73年ジョンソンの文学クラブの会員となり,スコットランド旅行にも同行した。『ヘブリディーズ旅日記』 The Journal of a Tour to the Hebrides (86) はその記録である。『日記』 18巻が 1928~34年に刊行されたが,なお未整理の著作が多量に残っており,50年からエール大学の編集により『ロンドン日記』 London Journalなどの著作の刊行が始った。

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百科事典マイペディア 「ボズウェル」の意味・わかりやすい解説

ボズウェル

英国の伝記作者。スコットランド出身の弁護士で,S.ジョンソンに親しく接し,伝記文学の傑作といわれる《サミュエル・ジョンソン伝》(1791年)を書いた。ほかに膨大な《私記》《日記》など。〈ボズウェル〉は忠実で崇拝的な伝記作者の代名詞とされる。
→関連項目伝記

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