ボルヒャルト(読み)ぼるひゃると(英語表記)Rudolf Borchardt

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルヒャルト」の意味・わかりやすい解説

ボルヒャルト
ぼるひゃると
Rudolf Borchardt
(1877―1945)

ドイツの詩人、エッセイスト、翻訳家、文化史家。東プロイセンケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)の古い家系の出身。早くから文学に傾倒ベルリン、ボン、ゲッティンゲン各大学で古典文献学、考古学を学ぶ間、イギリス、イタリアへも遊学ゲオルゲホフマンスタール、R・A・シュレーダーとも親交を結ぶ。ギリシア、ローマ、中世のヨーロッパ文化遺産の源泉をくんだ文化と文学の「創造的復古」(1927演説)が早くからの目標で、厳格な伝統的詩形による詩作、『ヴィラ』(1907)や『ピサ』(1938)など文化史的主著の断片をなすエッセイ、ダンテの『新生』『神曲』の卓抜な翻訳(1922)などにより、その実現を企てた。

高辻知義

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボルヒャルト」の意味・わかりやすい解説

ボルヒャルト
Borchardt, Ludwig

[生]1863.10.5. ベルリン
[没]1938.8.12. パリ
ドイツのエジプト学者。ベルリン博物館のエジプト部で働き,A.エルマンの指導を受けたのち,カイロのエジプト国立博物館で G.マスペロを助けて『カイロ博物館総合目録』を刊行。 1907年,ドイツ考古学研究所を設立し,長く所長をつとめた。アブグラブの太陽神殿,アブシールのピラミッド,アマルナ発掘に従事し,特に建築史と編年に造詣が深かった。彼がアマルナで発見した彫刻家トトメスの家出土の彫刻類は,ベルリン博物館の至宝である。

ボルヒャルト
Borchardt, Rudolf

[生]1877.6.9. ケーニヒスベルク
[没]1945.1.10. トリンス
ドイツの詩人,作家。 1904年以後大半をイタリアで過す。初めゲオルゲ派に属していたが,のち離脱。ホーフマンスタールとは終生親交を保った。ヨーロッパの伝統の再興を目指し,古典的形式の詩を書いたが,本領は散文にあり,物語『ヨーラムの書』 Buch Joram (1907) ,エッセー『ホーフマンスタールについて』 Rede über Hofmannsthal (05) ,『ビラ』 Villa (08) ,『ピサ』 Pisa (38) などがある。

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