日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーリウム」の意味・わかりやすい解説
ボーリウム
ぼーりうむ
bohrium
周期表第7族に属する人工元素の一つ。原子番号107の元素。1981年ドイツのダルムシュタット重イオン研究所のミュンツェンベルクGottfried Münzenberg(1940―2024)らは、コールドフュージョン法を用い、ビスマス209(209Bi)にクロム54(54Cr)を衝突させて263107(質量数263の107番元素)を経て262107が得られることを明らかにし、初めて107番元素の製造に成功した。ここに得られた262107は半減期12.6ms(ミリ秒)で265105となり、3.6秒でローレンシウム254(254Lr)を経て2.1秒でメンデレビウム250(250Md)となる。これに先だち1976年ソ連のドゥブナ研究所でビスマス209にクロム54を、また鉛208(208Pb)にマンガン55(55Mn)を衝突させて107番元素を得たと報告しているが、これは確認が得られるには至らなかった。国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)と国際純粋・応用物理連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)は1994年の暫定を経て、1997年ボーリウムの名称を正式決定した。元素記号Bh。これはデンマークの理論物理学者で原子構造理論の開拓者ボーアにちなむ。
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