日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローレンシウム」の意味・わかりやすい解説
ローレンシウム
ろーれんしうむ
lawrencium
アクチノイドの最後となる放射性元素。原子番号103、元素記号Lr。1961年カリフォルニア大学ローレンス放射線研究所において、重イオン線形加速器で加速したホウ素イオンでカリホルニウムを衝撃して、質量数257(のちに258に訂正された)の103番元素を合成したとするのが最初の報告で、1965年にはソ連の研究グループがアメリシウムの酸素イオン衝撃で質量数256の同位体を合成した。10種を超える同位体が得られているが、いずれも半減期は短い。そのため化学的性質を調べるのは困難であるが、溶液中で酸化数+Ⅲとなる証拠が得られている。サイクロトロンの発明者であるアメリカのローレンスを記念して命名された。発見当初、元素記号としてLwが使われたこともあったが、1997年に、国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)によって、Lrが正式に決定された。
[岩本振武]