改訂新版 世界大百科事典 「ポンタベン派」の意味・わかりやすい解説
ポンタベン派 (ポンタベンは)
École de Pont-Aven
フランス19世紀末,1888年から89年にかけて,ブルターニュの小村ポンタベンでゴーギャンを中心に形成された一種の画派。ゴーギャンの《説教のあとの幻影》(1888)は,その代表的作例。ゴーギャンを別にすれば,おもな画家として,ベルナールÉmile Bernard(1868-1941),ラバルCharles Laval(1862-94),セリュジエ,メイエル・デ・ハーンJacob Meyer de Haan(1852-95),セガンArmand Séguin(1869-1903),フェルカーデJan Verkade(1868-1946),フィリジェCharles Filiger(1863-1928)等があげられる。個々の画風の違いはあるものの,浮世絵版画,エピナル版画,ステンド・グラス等から想を得た〈クロアゾニスムcloisonnisme(区分主義)〉--隈取りのある平坦な色面を主体にした画面構成--により,宗教性と装飾性を調和させた内省的かつ音楽的な画面を目ざした点に大きな特徴がある。こうした絵画観はセリュジエを通じてドニをはじめとするパリの画家たちに受けつがれ,ナビ派の結成を促すことになった。
執筆者:本江 邦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報