マカロニ(読み)まかろに(英語表記)macaroni

翻訳|macaroni

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マカロニ」の意味・わかりやすい解説

マカロニ
まかろに
macaroni

イタリア語ではマッケローニmaccheroni(単数形はmaccherone)という。macaroniはイタリア語から借用の英語で、日本ではマッケローニではなくマカロニを借用している。以前はマカロニという名称でパスタ全般を意味することがあったが、パスタということばが普及してからは、マカロニは管状の乾燥パスタの一種という本来の意味になった。語源は、古代ギリシア語のmakariaであるという説が有力である。マカロニの起源についてはいろいろな説がある。語源からみてギリシアに起源があるという説は、makariaが葬儀の宴に供される一種の聖なるパスタであったということに基づいている。シチリアに起源を置く人もいる。この場合、シチリア方言のtriaということばは「パスタを圧搾機で押し出し、大気で乾燥させた穴あきの細長いパスタ」を意味するが、これがマカロニの祖先であるという説である。マカロニのシチリア起源説は、パスタのアラブ起源説につながる。なぜなら、シチリア方言のtriaはアラビア語のitriyaからきているからで、1154年にアラブの地理学者が書いた本にパスタの一種としてitriyaのことを記述しているからである。いずれにしても、マルコ・ポーロが中国の麺(めん)をみて伝えたというのは俗説であり、マカロニはもっと古い時代からすでに地中海世界に存在していたと考えるほうが正しい。はっきりイタリア語の文献にマカロニの名が現れるのは、ボッカチオの『デカメロン』(14世紀の中ごろ)のなかである。マカロニはそのなかで、ラビオーリと並んでたいへんな御馳走(ごちそう)として扱われている。しかし、『デカメロン』に出てくるマカロニは現在の管状のものと違い、ニョッキのようなものであったというのが定説になっている。

[西村暢夫]

製法

セモリーナ粉(グルテン含量の多いデューラム小麦)に水を加えてよく練り、高圧のプレスでダイス(型金)から押し出し、乾燥機で乾かす。形はロングとよばれる長いものと、カットという短いものがある。マカロニの穴は乾燥しやすくするためと、料理の際に熱の通りをよくするためといわれている。良質のものは、ゆでてから少したっても「こし」が強い。

[西村暢夫]

調理

マカロニの調理仕方はたっぷり湯を沸かし、湯1リットルに軽く大さじ一杯の塩を入れてゆでる。こしのしっかりしているうちに火を止めるのがおいしく食べるこつである。ゆで上がったら湯を切り、熱いうちにソースをかけて食べる。マカロニによくあうソースはボロニェーゼ、ナポレターナが代表的で、それにパルメザンチーズを好きなだけかける。

 パスティッチョ・ディ・マッケローニというマカロニのグラタンも有名である。変わったところでは、アブルッツォ州ギター風マカロニで、ギターに似た道具で生パスタの板を細長く切りマカロニをつくる。形はスパゲッティだが、アブルッツォでは古くからマカロニとよんでいる。

[西村暢夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マカロニ」の意味・わかりやすい解説

マカロニ
macaroni

小麦粉でつくった押し出し麺の一種で,普通直径 2.5~5mmぐらいの管状のものをさす。1.2~2.5mmぐらいの棒状のものをスパゲティ,これよりさらに細いそうめん状のものをバーミセリーと呼び区別している。イタリアが本場で,本来はデュラム種のマカロニコムギを粗びきしたセモリナを原料とするが,近年では硬質小麦の粉を混合することが多い。小麦粉に 40~50℃の温湯を加えて混捏機で十分にこねたのち,強い圧力で小さい穴から突き出し,適当な長さに切って乾燥して製品とする。太いものは中空にして乾燥しやすくするが,押し出すときの穴の形によってさまざまな形や大きさの製品ができる。スープに入れたり,ボイルドマカロニ,ベークドマカロニなどの調理法がある。

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