改訂新版 世界大百科事典 「マツブサ」の意味・わかりやすい解説
マツブサ
Schisandra repanda (Sieb.et Zucc.) Radlk.
日本や朝鮮半島南部の山野の日当りのよい所でみかけるマツブサ科のつる性植物で,果実が房状について食用となるので古くから親しまれていた。落葉つる性木本。雌雄異株,時に同株,まれに両性花をつける。葉は軟らかい厚膜質で,小さな歯牙が3~5対ある。花には多数のおしべとめしべがあり,花糸は互いに合着している。黒い液果は著しく伸びた果托に多数つく。つるを編んで籠にしたりする。果実は酸っぱくて食用になり,乾かしたものは二日酔いに効くという。近縁のチョウセンゴミシS.chinensisは果実が紅熟する。全草を漢方では五味子(ごみし)という。
マツブサ科Schisandraceaeはモクレン目に属し,マツブサ属約25種とサネカズラ属約25種との2属よりなり,東アジア,東南アジア,北アメリカ南東部に分布する。つる性で落葉か常緑。花糸は通常互いに合着し,果実時に花床が著しく伸長するか肥大して多数の液果をつける特徴がある。近縁な科はない。
執筆者:植田 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報