マツブサ(読み)まつぶさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツブサ」の意味・わかりやすい解説

マツブサ
まつぶさ / 松房
[学] Schisandra repanda (Sieb. et Zucc.) Radlk.

マツブサ科(APG分類:マツブサ科)の藤本(とうほん)(つる植物)。葉は普通、短枝に数枚束生し、卵円形でやや厚い膜質、低い凸頭状の鋸歯(きょし)が8~10個ある。普通、雌雄異株であるが、同株のものもあり、ときに性転換することもある。6~7月、葉腋(ようえき)に淡黄白色花を数個下向きに開く。9~10月に果托(かたく)が著しく伸長して5~6センチメートルになり、藍黒(らんこく)色の果実を多数つける。北海道から九州、および朝鮮半島南部の温帯から暖帯下部に分布する。名は、茎を傷つけるとマツのようなにおいがし、果実がブドウの房に似るのでいう。果実は食用となり、つるは籠(かご)などに利用する。

 マツブサ属は東アジアから東南アジアに約25種、北アメリカ南東部に1種分布し、東西両大陸に隔離分布する好例である。

[植田邦彦 2018年7月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツブサ」の意味・わかりやすい解説

マツブサ(松房)
マツブサ
Schisandra nigra

マツブサ科のつる性落葉木本。ウシブドウともいう。日本全土,朝鮮半島南部に分布し,山地に生える。茎は長く伸び,まばらに分枝する。全体に無毛で葉は互生し卵形で柄があり,托葉はない。短枝にまとまって数枚ずつつく。5~6月に,淡黄白色の花を1個ずつ腋生する。雌雄異株で,萼片は6~12個あり花弁状をなす。おしべは癒合する。雌花の心皮は多数で各2個の胚珠があり,結実すると花托が伸びて液果穂状につけ,藍黒色に熟し,種子を2個つける。

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